旧鐘紡洲本第3工場汽缶室

旧鐘紡洲本第3工場汽缶室

旧鐘紡洲本第3工場汽缶室は、兵庫県洲本市の洲本市民広場に位置する歴史的な建築物であり、1920年に完成しました。この工場は、日本の近代化産業遺産として重要な役割を果たしており、経済産業省により「洲本市の綿産業関連遺産」の一部として認定されています。現在は、1998年にオープンした淡路ごちそう館御食国（みけつくに）というレストラン兼特産品販売店として利用されています。

歴史的背景

この工場の起源は、1895年に設立された淡路紡績に遡ります。創業から5年後の1900年に鐘淵紡績に買収され、鐘紡洲本工場として新たな歴史を歩み始めました。以降、工場は急成長し、1909年に第二工場が操業を開始しました。そして、1920年に第三工場が加わり、全体での生産能力が大幅に向上しました。初期の精紡機は32000錘を持っていましたが、後に61076錘へと拡大し、鐘淵全社内で3番目に大きな工場に成長しました。

工場は、第二次世界大戦中でも戦災の影響を受けることなく、復元が進められたため、戦後も操業を続けることができた数少ない工場の一つです。1960年代末には電子事業への転換に伴い、工場の閉鎖が進行し、最終的に1986年には完全に操業を停止しました。その後、洲本市は「洲本市新都心ゾーン整備構想」を策定し、歴史的価値を持つ建物群を保存し活用する取り組みを進めました。

建築の特徴

旧第3工場は、1916年に着工されたものの、第一次世界大戦の影響で機械の輸入が遅れたため、操業開始が1920年にずれ込みました。工場の汽缶室と汽機室は煉瓦造りで、イギリス式の積み方が施されています。特徴的な壁面の装飾や円形窓、柱型がこの建物の個性を表しています。屋根は木造の小屋組で構成され、額縁トラスというスタイルの越屋根が特徴的です。また、電気動力を主要動力とすることで、汽缶室と汽機室は工場から離れた場所に設置されました。これは、従来の蒸気動力に依存していた他の工場とは異なる点です。工場内の生産工程の変化も、業態の変化に対応しています。

近代産業化遺産としての位置付け

第三工場は、2007年に経済産業省によって「洲本市の綿産業関連遺産」として認定され、特に「東洋のマンチェスター」と呼ばれる西日本の綿産業の発展の歴史を語る産業遺産群の一部として位置付けられています。この遺産群は、日本の近代綿産業が国内外市場に多くの製品を供給し、経済や生活を支えてきたことを証明するものです。

アクセスと周辺情報

旧鐘紡洲本第3工場汽缶室へのアクセスは、神戸舞子バスストップや徳島駅からの高速バスを利用するのが便利です。いずれのルートも下車後、徒歩数分で到着します。また、洲本市民広場や洲本アルチザンスクエア、淡路ごちそう館など、周辺には観光スポットも豊富に存在します。訪問者は歴史的建築物とともに、地域の特産品を楽しむことができるでしょう。

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