早瀬万豊

早瀬 万豊

早瀬万豊（はやせ かずとよ）氏は、1958年6月14日に岡山県津山市で生まれた、日本のアマチュア野球界における著名な選手、そして指導者です。

野球との出会いは早く、地元岡山県作陽高校では遊撃手として活躍しました。チームの柱として奮闘しましたが、1976年の県大会予選決勝では惜しくも敗退し、甲子園の土を踏むことは叶いませんでした。

高校卒業後、一年間の浪人期間を経て関西大学に進学。ここで早瀬氏は投手に転向します。関西六大学野球リーグでは、大学球界を代表する投手として成長し、通算23勝という輝かしい記録を打ち立てました。特に語り草となっているのは、4年生だった1981年秋季リーグ戦の優勝決定戦でのピッチングです。チームの命運をかけたこの試合で、早瀬氏は延長17回を一人で投げ抜くという壮絶な力投を見せましたが、勝利には至らず、惜しくもリーグ優勝を逃しました。

大学卒業後の1982年、社会人野球の名門である日本生命に入社。ここでも投手として野球を続けました。1983年の社会人野球選手権大会では、その活躍が評価され優秀選手に選ばれています。そして、1985年の都市対抗野球大会では、エースとしてチームを牽引。特に驚異的だったのは、優勝までの道のりで続いた5連投です。この献身的な投球がチームに勇気を与え、日本生命の都市対抗野球初優勝という歴史的快挙に大きく貢献しました。

現役引退後も、早瀬氏は引き続き日本生命硬式野球部で指導者としての道を歩みます。コーチとして1990年の日本選手権大会優勝、1992年の都市対抗野球大会優勝に貢献。1995年には監督に就任し、1997年には都市対抗野球大会、1998年には日本選手権大会でチームを優勝、準優勝へと導きました。選手として、コーチとして、そして監督として、実に3度にわたり都市対抗野球大会の優勝旗を日本生命にもたらすという、アマチュア野球界では類まれな偉業を成し遂げたのです。その後は社業に戻り、営業部長、代理店部長、松江支社長などを歴任しました。

野球界への貢献は日本生命だけにとどまりません。2003年からは日本野球連盟の競技力向上専門委員会委員や、日本オリンピック委員会（JOC）の強化スタッフ（コーチングスタッフ）を務めました。また、全日本野球協会ナショナルチーム強化委員として、国際大会でも指導経験を積んでいます。具体的には、2011年のIBAFワールドカップ大会（パナマ）や2013年の東アジア大会（天津）では、ジャパンチームのコーチとして采配を振るいました。

また、2005年から2013年までの間、NHK（テレビ・ラジオ）で高校野球の甲子園大会の解説者としても活躍。その豊富な経験に基づいた分かりやすい解説で、多くの高校野球ファンに親しまれました。

そして2014年1月、母校である関西大学硬式野球部の監督に就任。関西六大学野球リーグの強豪復活を目指し、チームの再建に情熱を注ぎました。監督として、2014年、2016年、2017年、2019年、2021年、2022年、2023年と、実に7度にわたりリーグ優勝を達成。全国の舞台である明治神宮野球大会にも5度出場し、2019年にはチームを初の準優勝へと導くなど、目覚ましい手腕を発揮しました。学生野球の指導者としても確固たる実績を残し、2023年秋季リーグ戦をもって関西大学野球部の監督を退任しました。

選手、指導者、そして解説者として、長年にわたり日本のアマチュア野球界の発展に貢献してきた人物です。

もう一度検索