明日泥棒 (漫画)

明日泥棒（あしたどろぼう）は、脚本を外薗昌也、作画を別天荒人が担当した日本の漫画作品です。集英社の漫画雑誌にて掲載されました。連載は『週刊ヤングジャンプ』で2007年51号から始まり、隔号での掲載を経て、『月刊ヤングジャンプ』へと移籍。同誌の2009年1月号から、最終話が掲載された6月号まで連載が続けられました。

本作はジャンルとしてはSFラブコメディに分類されます。作者である外薗氏と別天氏は、以前にも同じ『ヤングジャンプ』系列誌で『ガールフレンド』という作品を共に制作しており、『明日泥棒』はそのタッグによる待望の新作として多くの読者に迎えられました。

物語の中心となるのは、システム開発会社に勤める30歳のシステムエンジニア、宮迫享一です。彼は日々の多忙な仕事に追われる中で、どこか息苦しさを感じながら生活していました。そんな彼の心の奥底には、9年前に別れた大学時代の恋人、天堂明日の存在が今も色濃く残っており、過去への未練を抱えていました。

ある日のこと、東京の空に突如として巨大な飛行物体が出現します。それは明らかに地球外の文明によるものと思われ、街に騒然とした雰囲気をもたらします。その飛行体から一筋の強力な光弾が放たれ、偶然にも現場近くにいた享一めがけて降り注ぎます。光の中から現れたのは、信じがたいことに9年前と全く同じ姿をした元恋人の天堂明日でした。

しかし、再会した「明日」は、かつての彼女とは様子が異なっていました。指先から光線を放ったり、建物の屋根を軽々と飛び移るなど、人間には到底不可能な超常的な能力を見せるのです。困惑と驚きを隠せない享一は、様々な成り行きを経て、この謎めいた「明日」を自宅に連れ帰り、奇妙な共同生活を始めることになります。予測不能な日常が展開される中で、享一は過去の恋愛と向き合い、目の前の「明日」という存在の正体、そして自身を取り巻く不可思議なSF的現象に巻き込まれていくことになります。

登場人物は以下の通りです。

宮迫 享一（みやさこ きょういち）： 本作の主人公。30歳のシステムエンジニア。仕事に疲れを感じ、元恋人を忘れられないでいる。大学時代、自身のペースについてこれないという理由で明日と別れた過去を持つ。UFOから現れた「明日」との同棲生活を通じて、自身の人生観が変化していく。（集英社VOMIC版キャスト：阪口大助）
天堂 明日（てんどう あした）： 享一の元恋人と同じ外見でUFOから現れた謎の女性。9年前と変わらぬ姿だが、人間離れした能力を持つ。性格は無邪気でマイペース、時に享一を強引に振り回す。コスプレやゲームなど、オタク文化への造詣が深い様子。（集英社VOMIC版キャスト：神田朱未）
銀河 流星（ぎんが りゅうせい）： 若手ながらベストセラーを連発する人気ライトノベル作家。その正体は、享一の大学時代の元恋人である本物の天堂明日。宇宙人の存在を熱心に信じており、関連情報サイトを運営している。サイトのオフ会で享一と偶然再会する。（集英社VOMIC版キャスト：安井絵里）
室井（むろい）： 享一と同じシステム開発会社に勤務する後輩社員。享一を慕っており、共に仕事をする機会が多い。明るく天真爛漫な性格。（集英社VOMIC版キャスト：鹿野優以）
部長： 享一と室井の直属の上司。厳格で仕事に対して非常に熱心だが、どこか憎めない人柄も持つ。突飛な出来事にも動じない精神力の持ち主。（集英社VOMIC版キャスト：寺本勲）
美矢（みや）： 人気作家である銀河流星のアシスタントを務める女性。銀河の身の回りの世話をすることが多い。地に足のついた現実主義者で、型破りな銀河の言動にはやや呆れ気味。（集英社VOMIC版キャスト：庄司宇芽香）

本作は、集英社の企画によるヴォイスコミック（VOMIC）としても展開されており、主要キャラクターには人気声優陣が起用されています。

『明日泥棒』は、平凡な日常に突如としてSF的な要素が介入することで生まれるドタバタ劇を描きつつ、主人公が過去の未練や後悔と向き合い、目の前の非現実的な出来事や「二人の明日」という存在を通して、「自分にとって本当に大切なものとは何か」や「現実と非現実」といったテーマを探求していく点が魅力です。SF、ラブコメディ、そして人間ドラマが融合したユニークな作品と言えるでしょう。

もう一度検索