明比正行

明比正行：日本のアニメーションを彩る巨匠の軌跡

明比正行（あけひまさゆき）氏は、1937年愛媛県松山市生まれの日本のアニメーション演出家、映画監督です。9人兄弟の三男として誕生しましたが、兄弟は若くして亡くなったと伝えられています。

日本大学芸術学部文芸学科卒業後、同郷の縁で映画監督の佐伯清氏に紹介され、1959年に東映に入社。東京撮影所で助監督としてキャリアをスタートさせました。佐伯清氏をはじめ、渡辺祐介氏、石井輝男氏、今井正氏といった錚々たる監督たちの下で研鑽を積み、映画制作の基礎を学びます。

しかし、映画産業の斜陽化を受け、1964年に東映動画（現・東映アニメーション）へ転籍。日大の先輩である久岡敬史氏らと共に、アニメーション制作の世界へ足を踏み入れます。

アニメーション作品におけるデビュー作は『狼少年ケン』です。当初は山本寛巳氏の助手を務めていましたが、山本氏が組合活動で不在がちだったことから、明比氏が多くの作業を担うこととなり、第46話「ジャングルの友情」で早くも演出デビューを果たします。

以降、東映動画の様々な作品で演出を担当。『サイボーグ009 超銀河伝説』や『1000年女王』といった劇場作品では、脚本に大幅な修正を加え、作品全体の完成度を高めることに貢献しました。クレジットこそ少ないものの、脚本家としての才能も持ち合わせていたと言えるでしょう。

東映アニメーションを定年退職後も、嘱託として演出を続けながら、東映アニメーション研究所、東映アカデミー、日本工学院専門学校などで講師を務め、後進の育成にも尽力しました。

数多くのアニメ作品で演出を担当し、その作風は幅広く、時代を超えて愛される作品群に貢献しています。代表作として挙げられるのは、『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズ、『宇宙海賊キャプテンハーロック』、『銀河鉄道999』、『聖闘士星矢』、『SLAM DUNK|SLAM_DUNK』など、いずれも高い人気を誇る作品です。これらの作品において、明比氏は独特の演出センスで、アニメーションの世界に新たな魅力を加えました。

明比氏のキャリアは、アニメーション制作の現場にとどまりません。実写映画にも数多く参加しており、『べらんめえ中乗りさん』、『ヒマラヤ無宿 心臓破りの野郎ども』など、多様なジャンルの作品に関わっています。ただし、これらの作品ではノンクレジットであることが多いようです。

アニメーション演出家としての最後の仕事は『太極千字文』でした。その後は、東京都立練馬工科高等学校の非常勤講師として、教育活動に携わっています。

明比正行氏は、日本のアニメーション史に大きな足跡を残した、まさに巨匠と言える存在です。その功績は、後世に語り継がれるべきものと言えるでしょう。氏の作品は、これからも多くの人々に感動と興奮を与え続けることでしょう。

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