明治大学交響楽団

明治大学交響楽団（めいじだいがくこうきょうがくだん、英語表記: Meiji University Symphony Orchestra）は、日本におけるアマチュアオーケストラの代表的な存在として知られています。「明オケ（めいおけ）」の愛称で多くの学生や音楽愛好家に親しまれており、大正時代後期の1923年4月にその歴史の第一歩を踏み出しました。以来、一世紀にわたる活動を続け、2023年には記念すべき創立100周年を迎えました。

概要

本楽団は、明治大学から公認された正式な学生オーケストラサークルとして活動しています。年間を通じて多岐にわたる演奏機会を設けており、主なものとしては、前期に開催される6月演奏会と、年度の集大成となる定期演奏会があります。これらの大規模な演奏会に加え、楽器の特性に焦点を当てたトランペットコンサートやトロンボーンコンサート、さらには楽団を構成する各セクション（弦楽器、管楽器など）ごとに行われる室内楽的な小規模コンサートも3月に開催するなど、多様な形態での演奏活動を展開しています。また、日本の大学オーケストラ界における重要な連携組織である東京六大学オーケストラ連盟に加盟しており、他の五大学のオーケストラと共に、年一度の合同演奏会を開催し、交流と研鑽を深めています。

学内における貢献も大きく、新入生を迎える入学式や卒業生を送り出す卒業式といった大学の重要な式典において、厳粛かつ華やかな式典演奏を担当しています。さらに、大学の学園祭への参加や、明治大学の父母会からの依頼に応じた演奏会なども実施しています。学外においても積極的に社会との接点を持っており、都内の教育施設や福祉施設などを訪問し、ボランティア演奏を行うなど、音楽を通じた地域貢献活動にも力を入れています。このように、明治大学交響楽団の活動範囲は非常に幅広く、学生オーケストラとしての枠を超えた活発な音楽活動を展開しています。

沿革

明治大学交響楽団の起源は、1923年（大正12年）4月末に遡ります。尾原勝吉氏をはじめとする複数の創設メンバーが中心となり、「明治大学管弦楽団」として創設されました。楽団設立から間もない同年6月24日には、早くも記念すべき第1回定期演奏会が、当時の帝大基督教青年会館（現在の東京YMCA）にて開催されています。この演奏会では、和田小太郎氏の指揮のもと、シューベルトのミリタリーマーチやヴァイオリン独奏によるマスネのタイスの瞑想曲など、バラエティ豊かな11曲が披露されました。

創立から5年後の1928年（昭和3年）には、明治大学の文化部連合会に正式に加入し、大学公認団体としての地位を確立しました。これに伴い、楽団名も「明治大学校友会音楽部管弦楽団」と改称されています。その後、楽団の活動はさらに活発化し、1934年（昭和9年）からは全国各地を巡る大規模な演奏旅行を定期的に行うようになり、学外にもその存在を知らしめることとなりました。太平洋戦争が激化する中の1941年（昭和16年）には、時局的な影響もあり、吹奏楽団と合併し、「明治大学音楽研究会」として活動していた時期もありました。しかし、戦後の復興が進むにつれてオーケストラとしての活動を再開し、1951年（昭和26年）には「明治大学交響楽団」と名称を改め、合唱団（現在の明治大学グリークラブ）とも分離し、再び独立したオーケストラ団体となりました。

戦後、日本の大学オーケストラ界における重要な出来事として、1953年（昭和28年）に東京六大学のオーケストラが連携して「東京大学六大学交響楽団」（現在の東京六大学オーケストラ連盟）を結成したことが挙げられますが、明治大学交響楽団はこの結成に関わり、記念すべき第1回合同演奏会を当番校として日比谷公会堂で開催する重責を担いました。そして、創立からちょうど一世紀を迎えた2023年（令和5年）には、その長い歴史と伝統を祝い、集大成となる第100回記念定期演奏会が、東京のすみだトリフォニーホールにて盛大に開催され、楽団の新たな一歩を祝いました。

明治大学交響楽団は、創立以来、多くの学生にオーケストラ音楽に親しむ機会を提供し、演奏技術の向上だけでなく、豊かな人間性の育成にも貢献してきました。OB・OGにはプロの音楽家として活躍する者も多く、その歴史と伝統は、これからも脈々と受け継がれていくことでしょう。

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