明治女子短期大学

明治女子短期大学

概要

明治女子短期大学（めいじじょしたんきだいがく）は、日本の東京都千代田区神田駿河台の地に、1950年の開学を目指して設置が計画されていた私立の短期大学です。この学校は、具体的な設置構想が進められながらも、最終的に文部省の認可を得られずに実現に至らなかったことから、「幻の短期大学」として教育史の中にその名を留めています。

計画の背景

本校の設置計画は、戦後の学制改革によって短期大学制度が発足した直後の1949年に持ち上がりました。当時の財団法人明治大学は、新しい教育制度の下で高等教育機関の拡充を目指しており、既に男女共学の「明治大学短期大学部」の設置も並行して準備を進めていました。しかし、これとは別に、女子学生のための独立した教育機関として、明治女子短期大学を創設する構想も同時に存在していたことが、戦後に発行された複数の資料から読み取ることができます。これは、当時の社会において女子高等教育へのニーズが高まっていたことや、明治大学が多様な教育機会を提供しようとした意図を示唆しています。

設置予定学科

明治女子短期大学の設置計画においては、具体的な学科構成案も存在しました。申請書類などによれば、以下の二つの学科が開設される予定でした。

法律科: 入学定員80名
経済科: 入学定員80名

これらの学科は、専門的な知識を身につけた女性人材の育成を目指していたと考えられます。法律や経済といった分野は、当時としては女性が専門的に学ぶ機会が比較的少なかった領域であり、もし実現していれば、女子高等教育において先駆的な役割を果たした可能性もあります。

不認可と計画の統合

しかし、明治女子短期大学の設置計画は、残念ながら文部省の認可を得ることができませんでした。設置が不認可となった具体的な理由は、詳細な記録が公開されていないため明確ではありませんが、他の大学・短期大学の設置審査と同様に、教員数、施設・設備、財政状況、教育内容などが厳格に審査された結果であると考えられます。

興味深いのは、同時期に明治大学が申請していた男女共学の「明治大学短期大学部」は認可されたことです。明治女子短期大学の計画は、この認可された「明治大学短期大学部」に統合される形で吸収されることとなり、独立した女子短期大学としての開設は断念されました。これにより、明治大学は最終的に共学の短期大学を設置する形となりました。

計画の確認資料

明治女子短期大学の設置計画が存在したこと、およびその不認可の経緯については、主に当時の文部省が作成した公的な資料や、教育関連の文献によって確認されています。具体的には、文部省が発行した『申請大学、短期大学等一覧 短期大学審査状況』や『短期大学審査状況』といった報告書に、本校の名称や審査状況に関する記述が見られます。また、当時の受験・教育情報誌である旺文社発行の『蛍雪時代 19(10);昭和25年1月號』などにも、大学設置計画に関する情報の中で言及されていることがあります。

これらの資料は、戦後日本の高等教育制度の再編期における、各大学の設立に向けた取り組みや、文部省による審査の実態を知る上で貴重な手掛かりとなります。明治女子短期大学は実現しなかった計画ではありますが、明治大学の教育理念や、当時の女子高等教育に対する社会的な関心の一端を示すものとして、その計画の存在は歴史的な意義を持っています。

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