明王院 (福山市)

明王院の歴史と文化

明王院（みょうおういん）は広島県福山市草戸町に位置し、真言宗大覚寺派に属する仏教寺院です。この寺院は空海、またの名を弘法大師によって開かれたと伝えられています。特に本堂と五重塔は国宝として認定されており、その歴史的価値は非常に高いと言えます。

概要

明王院は愛宕山の麓にあり、そこから芦田川が流れています。境内には草戸稲荷神社が隣接しており、以前は寺の鎮守社としての役割を果たしていました。寺の歴史は大同2年（807年）に遡り、空海が草戸山の中腹に観世音を安置したことから始まります。ただし、当初は律宗の寺院として西光山理智院常福寺と呼ばれ、江戸時代には現名に改称されました。

寺の記録は開基から5世紀以上の間、発見されていません。草創期に関する記録は、江戸時代初期の本堂の棟札に遡ります。重要文化財に指定されている十一面観音立像は、平安時代に作られたもので、この時期に寺が存在していたことの証明ともなっています。

境内の発掘調査

1962年から行われた本堂の解体修理において、掘立柱穴などの古い建築遺構が発見され、現本堂の建立前にここに建物が存在していたことが確認されました。これにより、寺の歴史はさらに深化し、価値が高まっています。

草戸千軒と地域の発展

寺の周辺地域には、平安時代から中世にかけて栄えた門前町の名残があり、その遺跡が「草戸千軒」として発掘されています。この名は古文書にも見られ、戦国時代に入ると「草戸」と呼ばれることが多くなっていました。 当時この地域は多くの人々が集まり、活気にあふれていました。

本堂と五重塔

現在の本堂は元応3年（1321年）に建立され、五重塔は貞和4年（1348年）に建設されました。五重塔は全国の国宝の中でも古い部類に入ります。いずれも重要な文化財として高く評価されています。

歴代の藩主との関係

明王院は江戸時代において、福山藩主の水野家からの厚い崇敬を受けました。水野勝成は当寺に対して多くの寄進を行い、藩の祈願寺としての地位を確立しました。藩主によって行われた再建や修理に関する記録も数多く残されています。

明治以降の変遷

明治時代には神仏分離令により、境内の神社が明王院から独立しました。これに伴い、寺の伽藍の規模は縮小され、現在に伝わる建物のみが残されるようになりました。

文化財の保護と修復

1953年には五重塔が国宝に指定され、続いて1964年には本堂も国宝に指定されました。これらの重要文化財は、現在でも定期的に修復作業が行われ、その歴史的価値が守られています。明王院は福山市の文化財としての重要性を持ち続け、地域の歴史を伝える大切な存在です。

まとめ

明王院はその歴史、建築様式、そして文化財の価値により、訪れる人々に多くの感動を与える場所です。本堂や五重塔を含む境内は、歴史を間近で感じることができる貴重なスポットです。

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