明石康

明石康

明石康（あかし やすし）は、1931年生まれの日本の外交官、国際公務員、政治家です。長年にわたり国際連合の要職を歴任し、世界各地の紛争解決や平和構築に貢献しました。特定非営利活動法人日本紛争予防センター会長、名城大学アジア研究所名誉所長など、多くの要職を兼務しています。

生い立ちと学歴

秋田県出身で、東京大学教養学部アメリカ学科を卒業後、フルブライト留学生として渡米。バージニア大学大学院、コロンビア大学で学びました。幼少期から国際的な視野を培い、後の国際舞台での活躍の礎を築きました。

国際公務員としてのキャリア

1957年、日本人として初めて国連の専門職員に採用され、国連事務局でキャリアをスタート。17年間勤務した後、外務省に転じ、国際連合日本政府代表部参事官、公使、大使を歴任しました。1979年に国連に復帰し、事務次長（広報担当、軍縮担当、人道問題担当）に就任。広報、軍縮、人道問題など幅広い分野で手腕を発揮しました。

カンボジア和平への貢献

1992年、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)事務総長特別代表に就任し、カンボジア和平に尽力しました。内戦終結後のカンボジアにおいて、選挙の実施、人権の保護、難民の帰還支援など、多岐にわたる分野でUNTACを指揮し、和平プロセスを推進しました。カンボジアの民主化と復興に大きく貢献したとして、国際的に高い評価を受けています。

ユーゴスラビア紛争への関与と批判

1994年には、ユーゴスラビア紛争収拾のため旧ユーゴ問題担当・事務総長特別代表に就任。しかし、紛争解決に向けた指導力・決断力不足を指摘され、アメリカ人ジャーナリストからスレブレニツァの虐殺事件発生を招いたとして批判されました。明石自身は、国連保護軍の兵力不足や空爆の遅延など、自身の責任ではないと反論しています。この問題は、国際社会における平和維持活動の難しさを浮き彫りにしました。

その後の活動

1999年、広島市立大学付属広島平和研究所所長に就任するも即時退任。東京都知事選挙に出馬しましたが、落選しました。2000年には、杉原千畝生誕100年記念事業委員会の委員長として活躍。杉原千畝の国際社会への紹介と顕彰に努めました。2001年からは、群馬県立女子大学外国語研究所所長を務め、人材育成にも力を入れています。2006年より、スリランカ問題担当の日本政府代表として和平構築、復興にあたっています。また、2007年より、国際協力NGOジョイセフ（家族計画国際協力財団）の会長に就任しています。

現在

現在も、国際協力NGOジョイセフの会長や、中国と日本の関係改善を目指すフォーラム「東京－北京フォーラム」の日本側実行委員長を務めるなど、多岐にわたる分野で活躍しています。長年の経験と知識を活かし、国際社会の平和と発展に貢献し続けています。

明石康は、その国際的なキャリアを通じて、平和構築、人道支援、国際協力など、現代社会が抱える様々な課題に取り組んできました。その活動は評価が分かれる部分もありますが、国際社会における日本のプレゼンスを高め、多国間外交の重要性を示したことは間違いありません。

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