星上くんはどうかしている

星上くんはどうかしている

『星上くんはどうかしている』は、アサダニッキによる日本の漫画作品で、『デザート』（講談社）にて2014年7月号から2016年11月号まで連載されました。アサダニッキ先生が初めて『デザート』で執筆した作品です。

あらすじ

物語は、主人公の三毛野いさりが、ひょんなことから風紀委員の代理を任されるところから始まります。そこで出会うのは、同じ風紀委員の星上望。彼は、山奥の分校出身で、これまで同年代とほとんど話したことがなく、友達がいないことを悩んでいました。望はいさりを「誰とでも仲良くなれる人」だと見て、友達の作り方を教えてほしいと頼みます。いさりが望にアドバイスをするうちに、彼の双子の兄・星上求が現れ、望の友達がいないことを気にかけている様子を見せます。

いさりは望に、校門前で100人に挨拶するというアドバイスをしますが、望がそれを実行する姿を見て、彼女は「どうかしてる」と思いながらも、彼を応援することを決意します。しかし、いさりが望に近づくことを快く思わない求から牽制されたり、クラスの女子グループから避けられるようになったりと、様々な困難が待ち受けています。

物語が進むにつれて、いさりは望の抱える問題の根深さを知り、彼を支えようと奮闘します。そんな中、いさりは望に恋心を抱くようになり、彼の双子の兄である求もいさりに惹かれていきます。三角関係に発展していく中で、いさりは自分の気持ちと向き合い、望との関係を深めていきます。

文化祭以降、孤立した求が気にかかり、望から告白をされてもいさりは返事をすることができませんでした。求と向き合い、中学時代に途中で辞めた陸上にもう一度挑戦することにし、いさりは望に気持ちを伝えるのでした。

登場人物

三毛野いさり: 主人公。周りの状況をよく見て、人間関係を円滑に進めようと努める性格です。
星上望: いさりのクラスメイト。不器用で人付き合いが苦手ですが、純粋で優しい心の持ち主です。
星上求: 望の双子の兄。容姿端麗で頭も良く、周囲からは王子様のように思われていますが、孤独を抱えています。
吾妻: いさりのクラスメイト。頭が悪く将来性のない男性からの告白は断るなど、シビアな性格です。
岩伏鉄平: いさりのクラスメイト。見た目は怖いが、心優しい少年。猫好き。
玉峰薫: ギャル。模試の順位で上位になるなど成績が良く、運動神経も抜群。
* 雲城: いさりと同じ中学出身。手先が器用。

作品の魅力

本作の魅力は、何と言っても個性豊かなキャラクターたちの織りなす人間ドラマです。友達作り、恋、嫉妬、友情など、誰もが経験する感情がリアルに描かれており、共感を覚える読者も多いでしょう。また、アサダニッキ先生の繊細な絵柄も、作品の魅力を引き立てています。

ライターの富士見大によると、「双子」は非常に融通の利く設定であり、「ほかの兄弟にはできない様々な設定にもとづくドラマが生まれてきた」が、本作はそのひとつである「似てない双子」要素によって話が展開されています。一見困難に思える双子の描き分けについて、アサダは「リアクションなどの表情ひとつとっても巧みに描き分け、似てない性格までも表現している」という。

その「双子サンドイッチラブ」な三角関係の設定は読者から人気を博し、2015年6月には単行本に重版がかかり、同年8月と2016年2月に再び重版がかかりました。

『星上くんはどうかしている』は、笑いあり、涙あり、胸キュンありの、青春ラブコメディです。ぜひ、手に取って読んでみてください。

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