映画法について
映画法(えいがほう)は、
昭和14年にあたる
1939年に制定された日本の映画に関する
法律です。この
法律は、4月5日に
公布され、10月1日から施行されましたが、終戦を迎えた翌年の
1945年12月26日に廃止されました。映画法の制定は、日本が
日中戦争を遂行し、総力戦体制を構築していく過程において、軍国主義政策の一環として進められました。
制定の背景
昭和10年(
1935年)以降、日本は軍国主義的な方針を強めていました。このような時期に、映画産業も国の方針に従い、娯楽コンテンツよりも国家のための
プロパガンダを重視するようになりました。映画法によって、映画の
検閲が強化され、
脚本の事前審査が必要とされました。また、映画の
製作や配信には政府の許可が必要でした。
法案の策定には、
文部省社会教育局の不破祐俊が関わっており、過去の「観物場取締規則」や「活動写眞興行取締規則」などの
法律がその前身となっています。この映画法の施行により、多くの映画関係者は政府に登録しなくてはならず、さらに年に二回行われる「技能審査」という試験を通過する必要がありました。
映画産業への影響
映画法の影響により、映画業界ではその表現の自由が大きく制限されました。無registeredの従業員は業務に従事することができず、登録には試験が課されました。この試験は「実技考査」と「性格常識考査」に分かれており、「大日本映画協会」からの専門家や
文部省の役人が審査を行いました。映画界には、試験を受けたくないという強い反発があり、これが「悪法」と呼ばれる理由ともなりました。
映画法の施行により、特に16歳未満の若い演者に対しては夜間の撮影が原則禁止され、親の同意を必要とするなど、
児童労働への規制が強化されました。このような背景の中で、
1939年12月には「愛染かつら完結編」の撮影に関与していた
松竹大船撮影所の撮影主任が、映画法違反で逮捕されることになりました。
エピソード
映画法の麻痺した制度の中でも、現職の映画人は無試験で登録できた一方で、過去に監督や俳優であった者たちが試験を受ける事例も見られました。試験官として名を馳せた映画人の中には、
内田吐夢や
片岡千恵蔵、
稲垣浩などが名を連ねていました。試験自体が煩雑であり、特に比況を受けた若者が試験に通るまで多くの時間を要したエピソードも残っています。
映画制作においては、特に小型映画も登録の対象であり、そこで創作された作品に対する審査も行われました。映画法の影響を受けた観線制度が若者の映画観覧に制約をかけた一方、この
法律には14歳未満の児童に教育上の影響のある映画の観覧を禁止する規定が含まれており、この後の
映画のレイティングシステムに影響を与えたと言えるでしょう。
関連書籍
映画法に関連して、「映画撮影学読本」や不破祐俊による「映画法解説」などが出版され、映画
製作や
法律の理解を助けるための資料として活用されました。
このように、映画法は日本の映画産業において重要な位置を占めた
法律であり、映画文化の発展とともにその影響は現在にも引き継がれています。