春よ、来い (テレビドラマ)

『春よ、来い』

『春よ、来い』（はるよ、こい）は、1989年から1995年まで放送されたNHKの連続テレビ小説で、全307回に及ぶ第52作となります。この作品はNHKの放送開始70周年を記念して制作され、原作者は著名な脚本家、橋田壽賀子です。このドラマは彼女の自伝的な要素を取り入れた作品として知られ、主人公の成長や苦悩、家族との絆を描いています。

概要

作品は二部構成で、第一部では主人公の高倉春希の大学への進学のための上京から始まり、彼女が脚本家として成功を収める姿が描かれます。しかし、夫の死を見送るまでの過程では、春希の人生の苦難も多く描写されています。

当初、春希役は安田成美が演じていましたが、太平洋戦争のシーンの後、体調不良を理由に降板しました。その後の33歳から64歳までの期間は中田喜子が演じ、安田による前半を「第一部」、中田による後半を「第二部」と位置付けました。

本作は、1991年の『君の名は』以来の1年間の放送シリーズであり、この形式で放送されたのは最後の作品です。放送枠や制作スタイルが変わり、東京や大阪での半年ごとのシリーズに移行していく道筋を示しています。

視聴率と評価

視聴率に関しては、初回から27%という低調な数字で始まり、最高視聴率も29.4%にとどまりました。この視聴率の低迷を受け、主題歌に松任谷由実を起用し、豪華なキャストを招致しましたが、視聴率の回復には至りませんでした。この作品の前評判は高かったものの、期待されていた盛り上がりには繋がらなかったのが残念です。

あらすじ

第一部

物語は、高倉春希が最愛の夫の病を知る場面から始まります。それによって、彼女は人生に対する意欲を失い、自宅で夕日を眺めながら過去を振り返る場面が描かれます。戦争を乗り越えながら、春希は大学進学を果たし、映画やシナリオと出会い、自分の進む道を模索していきます。

第二部

春希は両親の死や恋人との別れに直面し、自暴自棄に陥ります。しかし、撮影所で新たに出会った人々の支えを受け、自立への道を歩み始めます。そして、新たに出会った矢野原高志と結婚し、脚本家としての道を順調に歩んでいくが、やがて高志が病に倒れてしまう運命を辿ります。

主役の交代

安田の降板理由については様々な憶測が飛び交いました。台本の進行の遅れや戦時中の描写への不満、さらには心身の疲労が影響したとの意見もあります。この降板は制作側にとって大きな影響を与え、作品の雰囲気を一変させる出来事となりました。

主なキャスト

• - 高倉春希: ヒロイン。元々は安田成美が演じ、その後は中田喜子が引き継ぎます。彼女の成長と苦悩を通じて、人間関係の葛藤や自己の確立がテーマとなっています。
• - 高倉大造: 春希の父で、彼女の女子大進学を支持する姿が描かれます。
• - 高倉リュウ: 春希の母で、戦争の影響を受ける家庭の様子が描かれます。

このように、『春よ、来い』は戦後の日本における女性の成長と家族の絆、そして社会背景が絡んだ物語として、多くの視聴者に愛されました。

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