春雷 (ふきのとうの曲)

「春雷」は、フォークグループふきのとうが1979年2月25日にリリースした13枚目のシングルです。この楽曲は、同年発売の7thアルバム『人生・春・横断』に先駆けて発表されました。

作詞・作曲を手掛けたのは、メンバーの山木康世です。山木の母親が病に倒れたことがきっかけとなり、病気からの回復を願う強い思いが込められています。当初、歌詞は男女の別れをテーマにしたものでしたが、マネージャーから「メロディーは素晴らしいが、歌詞が違う」と指摘を受けました。当時、山木は母親が癌で死期が迫っている状況に心を痛めており、歌を通して母親に恩返しをしたいという気持ちから、現在の歌詞へと書き改められました。

この曲は、ふきのとうにとって特別な意味を持つだけでなく、彼らを広く世に知らしめるきっかけにもなりました。1979年3月19日には、フジテレビの音楽番組「夜のヒットスタジオ」に初出演し、「春雷」を披露しました。この出演を機に、ふきのとうはより多くの音楽ファンに認知されるようになり、その後の活動を大きく飛躍させることになりました。

「春雷」の編曲は瀬尾一三が担当し、温かくもどこか切ないメロディーが、山木の情感豊かな歌声と重なり、聴く人の心を深く揺さぶります。歌詞には、春の雷鳴とともに新たな生命が芽吹くイメージが込められており、病からの回復を願う心情と重なり合って、力強いメッセージを伝えています。

B面には、細坪基佳が作詞・作曲した「ば～じにあ・すりむ」が収録されています。こちらも瀬尾一三が編曲を手掛けており、A面とは異なる魅力を持つ楽曲として、多くのファンに愛されています。

「春雷」は、2018年にWatana Besta SOCIAL clubによってカバーされ、トリビュート・アルバム『天衣無縫 ～A Tribute to YAMAKI YASUYO～』に収録されました。時代を超えて、その美しいメロディーと心に響く歌詞が、新たな世代にも受け継がれています。

「春雷」は、ふきのとうの代表曲の一つとして、今もなお多くの人々に愛され続けています。山木康世の母親への深い愛情と、命の再生を願う強い思いが込められたこの曲は、聴く人々に勇気と希望を与え、心に温かい光を灯してくれるでしょう。

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