昭和電工川崎工場爆発事故

昭和電工川崎工場爆発事故

1964年（昭和39年）6月11日午後3時10分頃、神奈川県川崎市扇町（現在の川崎市川崎区扇町）に位置する昭和電工川崎工場で、大規模な爆発事故が発生しました。この事故は、高さ12メートル、直径6メートルのタンクに貯蔵されていた酸化プロピレンが漏洩し、そのガスが溶接作業の火花に引火したことが原因とされています。

爆発の威力は甚大で、半径50メートル以内は鉄材を除いてほぼ全てが吹き飛びました。工場内の資材庫、分析室、工事事務所など、合計310平方メートルが焼失し、鎮火したのは同日夜8時頃でした。この事故により、18名もの尊い命が失われ、重傷者56名、軽傷者61名という多数の人的被害が発生しました。

事故当時、工場内では千代田化工建設によるタンクの増設工事が行われており、被害者の多くは工事の下請け労働者でした。工場はオートメーション化されていたため、昭和電工の従業員は爆発現場付近にはいませんでした。

酸化プロピレンは、沸点が34℃、引火点が-37℃と非常に危険な物質であり、通常は液体窒素で冷却して管理されていました。しかし、爆発発生の約40分前には、パイプ付近から気化した酸化プロピレンと思われる白煙が目撃されており、その漏洩したガスに溶接の火花が引火したと考えられています。

この工場では、1949年にもガス爆発事故が発生し、17名の死者が出ています。さらに、今回の事故の翌日には、約3キロメートル離れた昭和電工系の日本オレフィン化学でも、タンクローリーにトルオールを積み込み中に爆発事故が発生し、運転手と工場従業員の計2名が死亡しました。これらの事故は、化学プラントにおける安全管理の重要性を改めて浮き彫りにするものでした。

この事故は、化学物質を扱う工場における安全管理の重要性を強く認識させる出来事として、歴史に刻まれています。

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