昭和54年台風第16号

概要

1979年（昭和54年）9月、フィリピンの東海上で発生した台風16号は、北西に進路を取りながら発達しました。9月26日には沖縄の南東海上で中心気圧920hPa、最大風速45m/sに達し、非常に強い勢力となりました。しかし、その後は高気圧に阻まれ、偏西風帯も南下しなかったため、沖縄・奄美群島の東海上をゆっくりと北上しました。このため、これらの地域では約2日間にわたり暴風雨に見舞われました。

9月30日になると、台風は北緯30度を越えたあたりから急加速し、同日18時半頃には高知県室戸市付近に上陸しました。上陸時の中心気圧は955hPaと、依然として強い勢力を保っていました。その後、23時頃に大阪に再上陸し、中部・東北地方を縦断。10月1日9時には八戸沖に抜け、同日15時に温帯低気圧に変わりました。

この台風は非常に強い勢力を持っており、室戸岬では最大風速47.7m/s、最大瞬間風速66.9m/sを記録しました。また、徳島、奈良、彦根などでも40m/s以上の暴風が観測されています。滋賀県内の湖西線では、走行中の貨物列車が突風により脱線し、貨車2両が高架下に転落する事故も発生しました。

この台風の大きな特徴は、南西諸島の東海上をゆっくりと進んでいたのに対し、本州に近づくと急激に速度を上げた点にあります。室戸市付近に上陸する際は時速45キロ程度でしたが、東北地方を縦断する頃には時速90キロに達していました。なお、この台風の約3週間後には、台風20号が同様の経路をたどって日本に上陸し、大きな被害をもたらしました。

被害

最大風速: 47.7m/s（室戸岬）
最大瞬間風速: 66.9m/s（室戸岬）
最低海面気圧: 953.8hPa（室戸岬）

外部リンク

デジタル台風：台風197916号（OWEN）- 総合情報（気圧・経路図） - 国立情報学研究所（北本朝展）

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