昴 (谷村新司の曲)

『昴 -すばる-』について

『昴 -すばる-』は、1980年4月1日に発売された谷村新司のシングルであり、「昴」とはプレアデス星団の和名としても知られています。この曲は谷村新司の代表的な楽曲であり、彼のソロ活動の中で最も成功を収めた作品の一つです。なんと、販売枚数は60万枚を超え、名実ともにヒットを記録しました。

谷村新司は、アリスというグループからポリスターに移籍し、この楽曲が移籍後の初シングルとなったことは非常に重要なポイントです。アリスの人気が絶頂を迎えていた1980年、谷村はソロ活動も並行して行い、独自の音楽スタイルを確立していきました。

彼の自著『谷村新司の不思議すぎる話』によれば、曲作りは引越し作業の合間に、床に寝そべりながら思いついたアイデアをもとに歌詞を作成したとのこと。また、この曲はニッカウヰスキー「スーパーニッカ」のCMとしても使用され、さらには映画『天平の甍』のPRとの関わりから生まれた経緯があります。本来、映画に使用される予定でしたが、制作が遅れたため、CMに仕立てられたのです。

オリコンのチャートでは、初登場から上昇を続け、最終的に最高位は2位を記録しました。この時、1位はもんた&ブラザーズの「ダンシング・オールナイト」が独占していたため、その座を譲ることとなりました。結果的に、『昴 -すばる-』は1985年以降、高校の音楽教科書にも掲載されるようになり、時代を超えて多くの人々に親しまれる楽曲となっています。

谷村は1987年、初めて『第38回NHK紅白歌合戦』に出場しました。以前はアリスとして紅白出場を試みたものの、落選した過去がありましたが、新たな時代の期待を背負っての初出場でした。この時、トリから2番目に歌唱し、その後は紅白の常連となり、5回の出演を果たしています。

また、「昴」はアジア圏でも広く知られており、日本以外でも「北国の春」と並ぶ有名な楽曲として愛されています。特に、歌詞の中身については谷村自身も謎に思っていた部分があり、後に「物への別れに気づいた」と語る姿勢が印象的です。彼の創作活動は自由な発想から生まれたものであり、作詞の過程では石川啄木の影響も感じ取れるなど、文学的な研ぎ澄ましが感じられます。

曲調や歌詞が他の作品と似ているという指摘もありますが、盗作の疑惑には影響されず、独自のスタイルを貫く力量を見せています。収録曲は「昴 -すばる-」の他に「What love is」となっており、楽曲自体には多くのアーティストにカバーされる人気があります。美空ひばりもこの曲を歌い上げ、1980年代から中国での公演でも披露されています。

実際、上海万博では彼自身が歌唱し、タイや韓国などアジア各国でも広がりを持っています。カンボジアのシハヌーク殿下の愛唱歌ともされ、幅広い国で親しまれています。こうした背景を持つ『昴 -すばる-』は、今なお多くの人に影響を与え続けているのです。

もう一度検索