時のないホテル

アルバム概要

『時のないホテル』は、松任谷由実（ユーミン）が1980年6月21日にリリースした9枚目のオリジナルアルバムです。このアルバムは東芝EMIからお披露目され、LPやカセットテープなど異なる形態で楽しむことができました。1985年には初めてCD化され、さらに1999年にはバーニー・グランドマンによるデジタルリマスタリングを経て、新たな音質での復刻が行われました。

アルバムのジャケットやインナースリーブは、イギリスの名門ホテル『ブラウンズ・ホテル』で撮影されたもので、ユーミンはこの際に着用したツイードのセットアップを今も愛用しています。また、この作品のキャッチコピーには「Featuring Masaki Matsubara on guitar solo」が明記されています。リリースと同時期には全国30会場でのコンサートツアー『BROWN'S HOTEL』が開催され、ファンの支持を集めました。

収録曲とその解説

1. セシルの週末

ヒロインが運命の人物と出会うことで自己を変革していくストーリーの楽曲です。この曲は2018年のベストアルバム『ユーミンからの、恋のうた。』にも収められました。

2. 時のないホテル

東西冷戦時代におけるスパイの暗躍をテーマにした曲で、ホテルを舞台にした独特の構成が印象的です。この曲はライブパフォーマンスでも大変人気で、ユーミンの音楽ショー「シャングリラIII」でも特に華やかな演出が行われました。

3. Miss Lonely

戦争から帰らない彼を待ち続ける老婆の悲しみを描いています。感情深いストーリーが特徴的です。

4. 雨に消えたジョガー

すれ違ったランナーの記憶を胸に抱く曲で、病気により早熟に逝った彼の思い出が表現されています。

5. ためらい

この曲は、1977年に提供された楽曲のB面で、独特の雰囲気が漂っています。

6. よそゆき顔で

マリッジブルーに悩む主人公の心情を描いた曲で、ユーミンが実際に調査して歩道橋の存在を確認しました。

7. 5cmの向う岸

高身長のヒロインと低身長の彼氏の物語が描かれており、映画からのインスピレーションが反映されています。

8. コンパートメント

ユーミンの楽曲の中でも特に長い演奏時間を誇り、ヘビーなテーマが印象的です。

9. 水の影

シモンズへの提供曲であり、SNSなどでも話題に上がることが多い楽曲です。

参加ミュージシャン

アルバムには多くの著名なミュージシャンが参加しており、キーボードには松任谷正隆、ドラムには林立夫や青山純、パーカッションに斎藤ノブ、そしてエレクトリック・ギターには松原正樹や鈴木茂が名を連ねています。

総括

『時のないホテル』は、ユーミンの音楽キャリアにおいて重要な位置を占める作品で、深いテーマと多彩な音楽アプローチが融合しています。彼女の表現力やメッセージ性は、このアルバムを通じて多くのリスナーに届いています。

もう一度検索