時事ジャーナル

概要

時事ジャーナル（朝鮮語: 시사저널）は、1989年10月20日に創刊された、韓国を代表する時事報道系の週刊誌です。創刊以来、韓国社会の様々な側面を深く掘り下げる記事を掲載し、特に毎年発行される創刊記念号での「誰が韓国を動かしているか？」といった特集は、社会の注目を集めてきました。

同誌は、国会議員の活動や総合病院のサービスなどを独自に評価・採点し、その結果を掲載するなど、韓国において初めて「評価ジャーナリズム」と呼ばれる手法を積極的に導入・展開した媒体としても知られています。これにより、従来の報道とは異なる視点から社会を分析し、読者に新たな情報提供を行ってきました。

サムスン関連記事削除問題と編集部の分裂

時事ジャーナルの歴史において、最も大きな転換点となった出来事の一つに、2006年に発生した「サムスン関連記事削除問題」があります。2006年6月15日、サムスングループ側からの電話による要請を受けた当時の社長が、サムスンに関連する特定の記事の掲載中止を編集部に指示しました。

しかし、当時のイ・ユンサム編集長をはじめとする編集部の記者たちは、報道の独立性を守る立場からこの指示を拒否しました。これに対し、社長は編集部の意向に反して、直接印刷会社に働きかけ、問題の記事を雑誌から削除した上で、代わりにサムスングループの広告ページを差し込むという異例かつ強硬な手段に出ました。

この事態の発生後、社内では編集部門に対する厳しい対応が相次ぎました。6月23日には編集長が辞表を提出し即座に受理されたほか、その後、取材チーム長や複数の記者に対して無期停職や数ヶ月の停職といった懲戒処分が下されました。最終的に、編集部に所属していた24名の記者のうち、実に17名が何らかの懲戒処分を受けるという異常事態となりました。

ストライキと「時事IN」の創刊

こうした一連の会社の対応に対し、編集部の記者たちはジャーナリズムの根幹である編集権の独立が侵害されたとして強く反発しました。問題発生から約半年後の2006年12月、記者たちは編集権の独立確保などを求めてストライキに突入しました。これに対し、会社側は即座に職場閉鎖という対抗措置を取り、労使間の対立は長期化しました。

記者たちは1年以上にわたり「編集権の独立性」を主な要求としてストライキを継続しましたが、会社側との溝は埋まりませんでした。結局、ストライキに参加していた22名の記者たちは、会社との関係を断つことを決断しました。そして、彼らは新たな言論の場を自ら作り出すべく準備を進め、2007年8月29日に新たな週刊誌「時事IN」（시사인）を創刊し、時事ジャーナルから独立した活動を開始する道を選んだのです。

このサムスン関連記事削除問題とそれに続く編集部の分裂は、韓国社会における言論の自由や編集権の独立性について、改めて大きな問いを投げかける出来事となりました。

関連項目

* 時事IN

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