時実新子

時実 新子: 日本の川柳の巨星

概要

時実新子（ときざね しんこ）、本名は大野恵美子（おおのえみこ）は、1929年1月23日に生まれ、2007年3月10日に逝去した日本の著名な川柳作家であり、随筆家です。彼女は現代川柳の第一人者として、多くの人々に愛され、その作品は日本文学における重要な位置を占めています。岡山県上道郡九蟠村（現在の岡山市東区西大寺）で育った彼女は、川柳を通じて女性の情念を鮮烈に表現し、川柳界に新たな風を吹き込んだことでも知られています。

経歴

1941年に岡山県立岡山西大寺高等女学校（現・岡山県立西大寺高等学校）に入学した時実新子は、学徒動員や空襲を経て1946年には兵庫県姫路市の文具商と結婚します。しかし、彼女の新しい生活は困難を伴い、傷痍軍人である夫の暴力に悩まされる日々が続きました。このような過酷な環境に置かれる中、彼女は新聞の投稿欄で川柳に出会い、その魅力に引き込まれました。元々は学生時代から短歌を詠んでいた彼女でしたが、1954年に神戸新聞の川柳壇に初めて作品を投句し、見事入選を果たしました。1956年には「ふあうすと」に参加しましたが、翌年この会を退会し、『川柳研究』の幹事として活動を開始します。

川上三太郎に師事しながら、1963年には第一句集『新子』を刊行し、わずか2ヶ月で完売する反響を呼び起こしました。1966年には『川柳ジャーナル』の創刊メンバーとなり、1968年には川柳研究を退社、1974年に『川柳ジャーナル』も脱退し、フリーの作家として活動を本格化させました。1975年には個人誌『川柳展望』を創刊し、1981年には姫路市民文化賞を受賞。さらに1987年には句集『有夫恋』がベストセラーとなり、女性の川柳愛好家が増加するのを助けました。1995年には神戸新聞平和文化賞を受賞し、1996年には最終号を迎えた「川柳展望」の後に『川柳大学』を始動。2001年に神戸市文化賞を受賞するなど、彼女の名声はますます高まりました。

2007年3月10日、肺癌のため神戸市の病院で78歳で逝去しました。

作風と影響

時実新子の川柳は、女性の情熱や内面を鮮明に描写しており、彼女の作品は多くの読者に共感を呼び起こしました。その作風は、与謝野晶子と並べられることもあり、特に女性の視点からの表現が高く評価されています。また、渡辺美輪を含む多くの後進育成にも努め、川柳界全体の発展にも貢献しました。

選句力や鑑賞力に優れ、彼女が選者を務める川柳欄は非常に人気があり、多くの作品が寄せられました。時実新子の影響力は今なお続いており、川柳の未来を切り拓く存在としてその名を刻んでいます。

著書

彼女の著書には、1963年の『新子 句集』や、1987年のベストセラー『有夫恋』、さらにはエッセイ集や川柳入門書を含む、数多くの作品があります。彼女は自らの経験を基にした作品を通じて、川柳を愛する人々に多くの影響を与えてきました。彼女の作品は、今日においても多くの読者から支持され、親しまれています。

時実新子の人生と作品は、日本の川柳や女性文学の一部として今後も語り継がれることでしょう。彼女の情熱と才能は、多くの人々に影響を与え、今なお多くの人々の心に生き続けています。

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