時計じかけのアクワリオ

『時計じかけのアクワリオ』（Clockwork Aquario）は、ウエストンビットエンタテインメントが開発した横スクロールアクションゲームです。1992年にアーケードゲームとして発表されましたが、1993年以降の稼働予定が中止となり、長らく幻のゲームとなっていました。

しかし、27年の時を経た2020年、ドイツのパブリッシャーであるStrictly Limited Gamesによって開発が決定。2021年11月30日にPlayStation 4|PlayStation_4とNintendo Switch向けに発売され、2023年12月7日にはXbox OneとXbox Series X/S|Xbox Series X_S向けにも配信されました。Steam版の発売も予定されています。

開発の経緯

当初は『Ghost Hunter』というお化け退治シューティングゲームとして開発が進められていましたが、開発が難航。西澤龍一氏が手を加えて完成に至るも、ロケテストの結果は芳しくありませんでした。当時、対戦型格闘ゲームが全盛期であり、アーケードゲーム市場の時流もあって発売中止となってしまいます。

初期は3人同時プレイで開発されていましたが、3人用のコントロールパネル筐体が発売されなくなったため、2人プレイに変更されました。

発売中止後は、宣材用のスクリーンショットとロケテストで遊んだプレイヤーの記憶にしか残らない幻のゲームと化していました。しかし、当時の開発チームのコンポーザーであった坂本慎一氏が、基板から録音したBGMのマスターテープを所有していたことがきっかけとなり、D4エンタープライズのEGG MUSICによって2006年にサウンドトラックの配信が実現しました。

2012年には、ウエストンから当時のサウンド以外の開発データが発見されます。Strictly Limited Games共同設立者のデニス・メンデル氏は、ウエストンのゲームのファンであり、『時計じかけのアクワリオ』も雑誌で見て楽しみにしていたものの、発売中止になったことを残念に思っていました。これらのデータの発見を知り、復活プロジェクトを立ち上げ、2020年にPlayStation 4|PlayStation_4とNintendo Switch向けの開発決定を実現させました。

ゲーム内容

世界各地で頻発していた怪事件は、世界征服を企むハンギョ博士とその一味の仕業でした。彼らを追って、海底にある奇妙な世界『アクワリオ』に乗り込んだ3人が、ハンギョ博士の野望を打ち砕くために戦うというストーリーです。

オリジナルのアーケード版は、いくつかのロケテストで修正が加えられた上に開発中止となったため、正確なゲーム内容は不明な点が多く、以下は後に発売された家庭用版での仕様となります。

システム

本作は、ジャンプや投げを駆使して敵や障害物を対処しながらステージをクリアしていく横スクロールアクションゲームです。

操作は、移動＋ジャンプとパンチの2ボタンで行います。下方向でしゃがみ、真下の敵にジャンプで踏みつけたり、真上の敵にジャンプで頭突きをすることも可能です。

プレイヤーは、最初に少年ハック・ロンド、少女エル・ムーン、ロボットのガッシュの3人の中からプレイキャラクターを選びます。キャラクターごとの性能に大きな違いはありませんが、ロボットは当たり判定と攻撃判定が大きくなっています。2人同時プレイも可能です。

ステージ上に出てくる敵は、ダメージを与えると気絶状態になります。気絶した敵は、再度ダメージを与えると倒せますが、プレイヤーが触れると持ち上げ状態になり、上下左右の任意の方向へ投げ飛ばすことで、他の敵を倒したり、画面外へ消すことができます。通常状態の敵に触れると、プレイヤーはダメージ状態になり、その状態で再度敵に触れると残機を1つ失います。ダメージ状態は、薬のアイテムで回復できます。ステージ中の穴に落ちたり、タイムアップした場合も残機を失います。

ステージにはバルーンが配置されており、壊すと得点が入ります。ボスエリア前では、たくさんのバルーンが飛んでくるギミックもあります。スターのアイテムを拾うと、一定時間無敵になり攻撃も強化され、前方向に3WAYの星が飛ばせるようになります。カラーダイヤのアイテムを拾うと、画面上部のONE UPゲージが貯まり、ゲージがMAXになるとエクステンドします。また、一定の得点（5万点、10万点）を得ることでもエクステンドします。

全5ステージの一周エンドで、操作キャラクターによってストーリーが変わるという要素はありません。

追加要素

家庭用版では、ゲーム本編とは別に以下の追加要素が存在します。

サウンドトラック: ゲーム中のBGMとそのREMIX版を聴くことができます。
ギャラリーモード: 設定資料などを閲覧できます。
ボーナスステージミニゲーム: 2人プレイの際に、3～4ステージの間に発生するミニゲームを遊べます。2人プレイ専用です。

音楽

作曲は、当時ウエストンのコンポーザーであった坂本慎一氏が担当しました。本作の音源は、以下の配信に収録されています。

『時計じかけのアクワリオ ORIGINAL SOUNDTRACK』（2006年10月27日配信）

評価

本作は、ギネス世界記録より「開始からリリースまで最も時間がかかったゲーム」として認定されました。ギネス認定証による開発開始からリリースまでの期間は28年と81日です。

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