晩期資本主義

晩期資本主義とは

晩期資本主義（ばんきしほんししゅぎ、英: late capitalism）は、経済学や社会学の領域で議論される資本主義の一段階であり、また後期資本主義とも称されます。この概念は、特に20世紀半ば以降の資本主義の発展とその社会的影響を考える際に重要な概念となっています。

概念の背景

この用語の起源は、ヴェルナー・ゾンバルトにまで遡ることができます。彼は、資本主義の発展とともに社会がどのように変容するかを深く考察しました。一方、ユルゲン・ハーバーマスもこの概念を受け継ぎ、晩期資本主義の持つ特異な側面に対して独自の見解を示しました。ハーバーマスは『晩期資本主義における正統化の諸問題』において、特に資本主義が直面する正当化の危機について論じています。

この中で彼は、資本主義が経済的な成長や効率性だけでなく、社会的な正義や公共の福祉をどのように保障するかが課題であると指摘しました。晩期資本主義の時代においては、経済のグローバル化や技術の進歩が進む一方で、資本主義の社会的基盤が不安定化している点が強調されています。

近代の資本主義と比較

レーニンは『帝国主義論』の中で、帝国主義は資本主義の最高段階だと位置づけました。しかし、この見解に対抗する立場から、晩期資本主義が資本主義の最終の段階であるとする考えが提起されました。この違いは、資本主義の進展に対する視点の相違を反映しています。

既存の問題と解決の探求

晩期資本主義が直面している問題には、経済格差の拡大や環境問題、労働者権利の後退など様々なものがあります。これらの問題に対する解決策を見出すことは、今後の社会の持続可能性を考える上で非常に重要です。ハーバーマスの視点では、資本主義の持続可能性を確保するためには、正当化のプロセスを再構築し、社会的合意を得ることが不可欠だとされています。

文献の紹介

ハーバーマスの『晩期資本主義における正統化の諸問題』は、1973年に出版され、後に日本語訳もされました（細谷貞雄訳、岩波書店、1979年）。この文献は、晩期資本主義の本質やそれに伴う社会的課題について深い洞察を提供しており、後の研究や議論の基礎となっています。

さらに探求すべき関連項目

晩期資本主義をさらに理解するためには、独占資本主義や国家独占資本主義などの概念に目を向けることも重要です。これらは、資本主義が多様に変容するとともにどのように展開しているのかを理解するための手助けとなるでしょう。

資本主義の新たな形態や課題について、更に知見を深め、持続可能な社会の実現に向けた議論を進めていくことが求められています。

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