普及指導員

農業普及指導員とは

農業普及指導員は、農業改良助長法に基づき、農家の技術向上や経営改善を支援する専門職です。都道府県職員として採用され、農業の現場で直接指導や相談に応じます。ここでは、その概要、資格、試験について詳しく解説します。

概要

農業普及指導員は、農家に対して以下のような支援を行います。

農業技術の指導: 最新の技術や知識を提供し、生産性の向上を支援します。
経営相談: 経営状況の分析や改善策の提案を通じて、安定的な農業経営をサポートします。
情報提供: 国や都道府県の制度、市場動向など、農業に関する様々な情報を提供します。
制度周知・遵守のサポート: 農薬の適正使用など、法令遵守に関する技術的な指導を行います。

これらの活動を通じて、農業者の所得向上、経営の安定化、そして地域農業の発展に貢献します。

普及指導員として活動するには、都道府県の農業職として採用後、普及指導センターに配属される必要があります。普及指導センターは、地域によって「普及所」や「普及課」といった名称で呼ばれています。

資格

普及指導員資格を取得するには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

1. 普及指導員資格試験の合格
2. 過去15年間のうち12年以上、試験研究、教育等に従事している
3. 特定の資格（管理栄養士、公認会計士など）を有し、関連業務に2年以上従事している

近年では、6次産業化に対応するため、農産物の加工や販売に関する知識を持つ人材も任用されるよう制度が見直されています。

受験資格

普及指導員資格試験を受験するには、一定年数の実務経験が必要です。実務経験として認められるのは、以下の職務に従事した経験です。

試験研究機関における農業または家政に関する試験研究
教育機関における農業または家政に関する教育
国、地方公共団体または法人における農業または家政に関する技術についての普及指導

必要な実務経験年数は最終学歴によって異なり、大学院修士課程修了の場合は2年、大学等卒業の場合は4年、短期大学等卒業の場合は6年、高等学校卒業の場合は10年です。ただし、普及指導員の監督下で普及指導に2年以上従事した場合は、必要な実務経験年数が短縮されます。

試験

試験は農林水産省が主催し、年1回実施されます。試験地は、札幌市、仙台市、さいたま市、金沢市、名古屋市、京都市、岡山市、熊本市及び那覇市です。試験は、書類審査、筆記試験、口述試験の3つで構成されます。

1. 書類審査: 業務報告書に基づいて、実務経験や普及活動に必要な技能の習得状況が審査されます。
2. 筆記試験:
審査課題ア（必須）: 農業概論（食料・農業・農村をめぐる情勢、食料・農業・農村に関する政策、農業技術・経営及び農村生活に関する知識、情報技術に関する知識）
審査課題イ（選択）: 以下の分野から1つを選択
作物
園芸
畜産
土壌及び肥料
植物保護
労働・機械及び農作業
地域計画及び環境
流通及び加工
経営管理
* 審査課題ウ（論述）: 地域の現状把握、普及指導計画の策定、現場指導などに関する企画立案能力が評価されます。
3. 口述試験: 面接形式で、課題解決に必要な意欲、常識、態度、意思疎通能力などが評価されます。

農業普及指導員は、農業の発展に不可欠な存在です。資格取得を目指す方は、試験内容をしっかりと理解し、十分な準備をして臨みましょう。

もう一度検索