智本光隆

智本光隆：歴史小説の新たな地平を切り拓く作家

智本光隆氏（1977年生まれ）は、日本の小説家として注目を集める存在です。群馬県で生まれ育ち、京都精華大学人文学部、群馬大学社会情報学研究科と、幅広い知識を修めた経歴を持ちます。本名は千本木智明氏です。

彼のキャリアは2008年、第14回歴史群像大賞優秀賞を受賞した小説『風花』（※書籍としては発表されず）に端を発します。南北朝時代を舞台にしたこの作品は、高い評価を受け、翌年には歴史群像新書より『関ヶ原群雄伝』で作家デビューを果たしました。

デビュー作以降、智本氏は主に戦国時代を舞台とした歴史小説を発表し続けています。その作風は、史実に基づきながらも、独自の解釈や想像力を加えた、いわゆる架空戦記（シミュレーション）小説と言えるでしょう。緻密な時代考証と、登場人物たちの心理描写の深さが、作品にリアリティを与え、読者を歴史の世界へと深く引き込んでいきます。

代表作として挙げられるのは、『関ヶ原群雄伝』（全3巻）、『細川忠興戦記　本能寺将星録』（全2巻）、『豊臣蒼天録』（全3巻）などです。これらの作品では、関ヶ原の戦い、本能寺の変、豊臣家滅亡など、日本史における重要な出来事を独自の視点で描き出し、新たな解釈を提供しています。歴史に詳しくない読者でも、分かりやすく、かつスリリングな展開に引き込まれるでしょう。

近年では、戦国時代だけでなく、幕末時代を舞台にした作品にも挑戦するなど、活動の幅を広げています。2022年には『猫絵の姫君ー戊辰太平記ー』、2023年には『銅の軍神ー天皇誤導事件と新田義貞像盗難の点と点と線ー』をそれぞれ発表し、歴史小説の枠を超えた、より多様なテーマに挑戦する姿勢を見せています。

智本光隆氏の作品は、歴史小説の枠にとらわれず、エンターテイメント性と知的な深さを兼ね備えています。歴史好きはもちろんのこと、歴史に詳しくない人にとっても、読み応えのある、そして楽しめる作品ばかりです。彼の今後の作品にも期待が高まります。

主な作品一覧

関ヶ原群雄伝（歴史群像新書、2009-2010年、全3巻）
細川忠興戦記　本能寺将星録（歴史群像新書、2010-2011年、全2巻）
豊臣蒼天録（歴史群像新書、2011-2012年、全3巻）
桃山乱戦奇譚 天下人の血（歴史群像新書、2013年）
神剣の守護者（学研パブリッシング、2013年）
猫絵の姫君ー戊辰太平記ー（郁朋社、2022年）
銅の軍神ー天皇誤導事件と新田義貞像盗難の点と点と線ー（郁朋社、2023年）

外部リンク

歴史作家 智本光隆「雪欠片―ユキノカケラ―」 - 作者ブログ

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