智美と徹シリーズ

智美と徹シリーズ

『智美と徹シリーズ』は、那州雪絵が『花とゆめ』および『別冊花とゆめ』で発表した短編連作漫画の総称です。シリーズ名は、主人公である高西智美と不破徹の二人の名前に由来します。

概要

シリーズの1作目である「U.F.チャンス」は、『花とゆめ』の月例漫画賞への投稿作品であり、那州雪絵のデビュー作となりました。SF的な設定が盛り込まれていますが、ジャンルとしては学園を舞台にした恋愛コメディです。

「U.F.チャンス」の好評を受けてシリーズ化されましたが、1作で物語が完結していたため、2作目の「秘密だよ」からは時代を遡る形で物語が展開されています。作者の那州雪絵は、単行本『妖魔襲来!復讐鬼』の中で、「このシリーズは1作目が完結編だった」と語っています。

シリーズは、翌年から開始された短編連作シリーズ『フラワー=デストロイヤーシリーズ』と世界観を共有しており、共通のキャラクターが登場します。恋愛物としては「U.F.チャンス」で完結していますが、『フラワー=デストロイヤーシリーズ』の完結編である『ダーク・エイジ』では、智美と徹のその後が描かれ、徹がある決意を語る場面があり、『ダーク・エイジ』もまた『智美と徹シリーズ』の完結編と見なすことができます。

作品一覧

U.F.チャンス
『別冊花とゆめ』1985年冬の号に掲載。高校3年の秋が舞台。
秘密だよ
『花とゆめ』1985年12号に掲載。中学2年の夏が舞台。
BOYのテーマ
『花とゆめ』1985年16号に掲載。高校2年の夏が舞台。シリーズの中で唯一、SF的要素が含まれていません。
冬の瞳
『花とゆめ』1986年6号に掲載。高校2年の冬が舞台。

あらすじ

主人公の高西智美は、ごく普通の少女。幼なじみである不破徹に恋心を抱いていますが、彼は容姿端麗、学力優秀、スポーツ万能と、完璧な存在です。徹があまりにも完璧であるため、「彼は宇宙人だ」という噂が立つほど。智美はすっかり萎縮してしまい、告白する勇気が出ません。

一方、智美の中学時代からの友人である氷浦実は、徹が宇宙人であると信じて疑わず、その真相を追い求めています。物語は、彼らが真実に近づいたり遠ざかったりしながら、学園生活を送る様子を描いています。しかし、実は徹の身体は奇病に冒されており……。

主要登場人物

高西 智美（たかにし ともみ）
シリーズの主人公。少々ボーッとした性格の平凡な少女。図書委員を務めています。
幼なじみの徹に恋心を抱いていますが、彼が「普通ではない」ため、なかなか積極的になれません。
中学2年の夏と高校3年の秋に、徹の正体に関する出来事を経験します。前者は記憶を消され、後者は夢オチとして終わりますが、『ダーク・エイジ』では、すべてを知った上で徹を愛しているようです。
『フラワー=デストロイヤーシリーズ』の主人公である高西智恵の姉でもあります。
不破 徹（ふわ てつ）
もう一人の主人公。容姿端麗で、何でも天才的にこなすスーパーマン。図書委員長で、男子バレーボール部の部長も務めています。
実は、地球に不時着した宇宙人の子供であり、地球人のふりをして生活しています。万が一の事態に備え、父親が「地球人としての人格」を設定しました。
智美の気持ちに気づき始めていますが、地球では治療できない奇病に冒されており、余命いくばくもありません。
『ダーク・エイジ』では、両親が故郷へ帰った後、一人地球に戻り、「地球人」として生きていく決意を語ります。
氷浦 実（ひうら みのる）
智美と徹の中学時代からの友人。徹が宇宙人であると信じて疑わず、様々な方法で真相を暴こうとします。しかし、徹とは仲が良いです。
非常にポジティブな性格で、心が折れかけた智美を助けたこともあります。
石平 恵子（いしひら けいこ）
智美の友人で、図書委員。思ったことをズバズバ言う、熱血漢な性格です。氷浦のことを嫌っています。
紅椿 玲花（べにつばき れいか）
智美の友人。図書委員。石平とは対照的にクールな性格です。
野咲 浩子（のざき ひろこ）
智美たちの1学年下の少女。図書委員。生まれつき、常人には見えない「人間の気配」を感じることができ、徹の気配が普通ではないことから、彼が普通ではないと確信します。
内気な性格ですが、氷浦に励まされ、彼と行動を共にします。

書誌情報

単行本
妖魔襲来!復讐鬼 (1990年04月25日、ISBN 4-592-12517-7)
シリーズ全作のほか、表題作と『紅茶の騎士』を収録。現在は絶版。
文庫版
フラワー=デストロイヤー (2002年09月13日発売、ISBN 4-592-88180-X)
シリーズ全作と、『フラワー=デストロイヤーシリーズ』の全作を1冊にまとめたもの。

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