暑中お見舞い申し上げます

『暑中お見舞い申し上げます』の魅力とその背景

「暑中お見舞い申し上げます」は、1977年6月21日にリリースされたキャンディーズの14枚目のシングルです。この曲は、当時の日本の音楽シーンにおいて特別な位置を占めるものであり、リリース後すぐに多くのファンの心を掴みました。曲の特徴として、サビは3声の和音で構成されており、それ以外の部分ではユニゾンやソロが中心となっています。特に印象的なのが、1メロディの後にランがコーラスで呟く「うっふん」というフレーズで、この部分は観客と一体となって復唱するのがライブの定番となりました。

1977年の7月17日、日比谷野外音楽堂でのコンサート中に、メンバーの一人が「普通の女の子に戻りたい」と発言し、突如として解散を宣言しました。この発表はファンに衝撃を与え、約8か月後の1978年4月4日には後楽園球場で「ファイナルカーニバル」と題した解散コンサートが行われました。この時点でのシングル売上は32万枚に達しており、キャンディーズの人気を物語っています。

「暑中お見舞い申し上げます」は、郵政省（現・JP日本郵便）の暑中見舞い葉書のCMソングにも起用されており、広く知れ渡る存在となりました。キャンディーズはそのシングルと共に、9月にリリースされたアルバム『Candy Label』にも収録されています。興味深いのは、この曲には本来使われなかった常富喜雄が作曲した別テイクが存在し、これも1998年に記念のCD-BOXに収録されるまでお蔵入りの状態でした。

収録曲の詳細

「暑中お見舞い申し上げます」は、作詞を喜多條忠が手がけ、作曲は佐瀬寿一が担当しました。編曲は馬飼野康二によって行われています。また、収録されたもう一つの曲である「オレンジの海」は、穂口雄右による作曲と編曲で、こちらも大きな人気を誇りました。

カバーとその広がり

この曲はリリースから数十年後にわたって多くのアーティストにカバーされています。1979年にはクリスタル・スリーが英語の歌詞でLP『キャンディーズ・ディスコ・ヒート』に収録し、1994年にはサントリーの烏龍茶のCMとして中国語でカバーされました。この他にも、エイベックスに所属するSweetS、ハロー!プロジェクトの℃-ute、BSフジのロリポップスなど、さまざまなアーティストが新たな解釈でこの名曲を歌い継いでいます。

特に印象に残るのが、2015年に放送されたポカリスエットのCMで、吉田羊と鈴木梨央によるカバーです。このように、「暑中お見舞い申し上げます」は時間を超えて愛され続け、多くのリスナーの心に響く作品となっています。

最後に、この楽曲の持つ魅力は、そのメロディや歌詞の美しさだけでなく、キャンディーズとしての活動の象徴とも言える解散の背景にも根ざしています。彼女たちの楽曲は、今もなお多くの人々に感動を与え続けています。

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