暖炉の少女

ドクター・フー「暖炉の少女」：時空を超えた恋物語

『ドクター・フー』シリーズ2の第4話「暖炉の少女」は、2006年にBBC Oneで初放送された、18世紀フランスを舞台にしたSFドラマです。脚本はスティーブン・モファット、監督はユーロス・リンが担当。小説『きみがぼくを見つけた日』から着想を得ており、51世紀の修理ドロイドが時間の窓を開けて、ポンパドゥール夫人に接近する物語が展開されます。

物語のあらすじ

10代目ドクターは、1700年代のフランスでポンパドゥール夫人と出会います。彼女は修理ドロイドに狙われており、彼らは彼女の脳を宇宙船の部品として利用しようと企んでいました。ドクターはポンパドゥール夫人を救うため、ドロイドたちと壮絶な戦いを繰り広げます。このエピソードは、ドクターとポンパドゥール夫人との間に芽生える、儚くも美しい恋物語を軸に描かれています。

制作秘話

エグゼクティブ・プロデューサーのラッセル・T・デイヴィスは、18世紀を舞台にした作品『カサノバ』の制作中に、ポンパドゥール夫人への関心を深め、このエピソードのアイデアを思いついたそうです。彼は、このエピソードをドクターのラブストーリーとして構想し、控えめながらも美しく、タイムロードであるドクターの恋愛と、コンパニオンであるローズの反応を対比させることで、物語に深みを与えています。脚本家であるモファットは、小説『きみがぼくを見つけた日』からインスピレーションを得ていますが、物語の構造は大きく異なる点に注意が必要です。

ソフィア・マイルズ演じるポンパドゥール夫人は、オーディションなしで役を射止めました。また、脚本には、ドクターの秘密めいた名前や、ローズとの関係性を暗示するシーンが巧みに織り込まれています。興味深いのは、当初トーチウッドという単語を脚本に入れようとしたが、デイヴィスからの依頼がなかったため最終的に削除された点です。

撮影エピソード

撮影は2005年、イングランドとウェールズで行われました。馬を使ったシーンや、舞踏室でのクライマックスシーンの撮影には、特殊効果や合成技術が用いられ、予算や撮影許可などの制約の中で工夫が凝らされています。クライマックスシーンでは、舞踏室での撮影許可が下りなかったため、鏡を割るドクター、馬、壊れる鏡、そして舞踏室で反応するエキストラを別々に撮影し、クロマキー合成するなど、工夫を凝らした撮影が行われました。

放送と評価

「暖炉の少女」は、イギリスでは2006年5月6日、日本では2007年にNHK BS2で初放送されました。高い評価を受け、2007年にはヒューゴー賞映像部門短編部門を受賞しました。批評家からは、テンポの良いストーリー展開、テナントとマイルズの演技、そして感動的なストーリーが称賛されました。一方で、ドクターとポンパドゥール夫人の関係に焦点が当たりすぎるあまり、ローズの感情が軽視されているという批判もありました。しかしながら、全体的には非常に高い評価を得ており、多くの視聴者や批評家から『ドクター・フー』シリーズの中でも特に優れたエピソードとして挙げられています。IGNではテナントの『ドクター・フー』におけるストーリーの中でも第3位にランクインするなど、高い評価を得ています。

まとめ

「暖炉の少女」は、10代目ドクターの恋愛、修理ドロイドとの戦いを軸に、18世紀のフランスを舞台に展開される、緻密な脚本と美しい映像が特徴の、感動的なSFドラマです。数々の賞を受賞し、高い評価を獲得した、名作エピソードとして、多くのファンから愛され続けています。

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