暗数

暗数について

暗数（あんすう、英: dark figure）とは、実際に発生した事象が統計に反映されず、潜在的な数値として扱われるものを指します。この概念は主に犯罪統計において重要であり、警察などの公的機関が認知している犯罪件数と実際に発生した犯罪件数の差を示します。暗数を考慮することで、より正確な社会の実態を把握することができます。

暗数の意義

暗数は、統計が示すデータの信頼性を考える上で重要です。暗数の存在が認識されることにより、見過ごされている事象があることを理解しなければなりません。単に暗数があるからといってデータを無視することはできません。実際の犯罪件数が未記録である場合、犯罪統計だけでは実態が把握できないため、これが社会的な問題解決にとって障害となることがあります。

未記録と報告されていない犯罪

犯罪が公式に認知されるためには、以下の三つの条件が必要です：
1. 誰かが犯罪が発生したことを認識している。
2. その犯罪が報告されている。
3. 警察や他の機関がその行為を法律違反として受理している。

これらの条件が満たされない場合、その犯罪は統計に含まれず、結果として暗数となります。

犯罪が報告されない理由

犯罪が警察に報告されない理由はさまざまあります。例えば、自分にとってさほど重要でないと考える軽微な犯罪の場合、被害者が恥や面倒ごとを避けようと報告しないことがあります。また、被害者が犯罪に遭ったことを認識していないケースもあります。例えば、詐欺に遭っていることに気づかない場合や、物品の盗難に無自覚である場合などです。

さらに、社会的な要因や心理的な要因も影響を与えます。被害者が警察に対して不信感を持っていたり、報告を行うことで報復を恐れている場合も、犯罪が記録されない要因となります。

暗数に影響を与える要素

いくつかの犯罪は、他の犯罪に比べて報告されやすい傾向があります。重大な犯罪は軽犯罪よりも報告される可能性が高く、メディアによる報道も影響を与えます。例えば、大きな事件がメディアによって大々的に報道されることで、一般市民が積極的に報告するようになることがあります。

また、警察の方針や慣行も暗数に影響します。特定の期間やイベントにおいて、警察が重点的に取り締まりを行う場合、記録される犯罪の数も変動します。さらに、法律や技術の進展、社会経済の変化も暗数に影響を与える要素です。法改正や新たな犯罪の定義が追加されることで、紛れもなく犯罪の数値にも変化が生じるでしょう。

社会問題との関連

犯罪統計における暗数は、社会的な問題に直結しています。たとえば、大津いじめ自殺事件を受けて政府が動き、いじめに関する報告を促進した結果、報告件数が急増しました。これにより、学校内での隠れた問題が表面化し、対策が進められることとなりました。

暗数を考慮することは、社会全体が犯罪の実態をより正確に把握し、効果的な施策を展開するために欠かせない要素と言えます。

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