更科功

更科功氏は、日本の古生物学を代表する研究者の一人です。1961年東京都生まれ。幼少期から化石に魅せられ、その探究心は現在も衰えることを知りません。麻布高等学校卒業後、東京大学教養学部基礎科学科に進学。卒業後は民間企業に勤務するも、学究への情熱を断ち切れず、再び大学の世界へ戻ります。2000年、東京大学大学院理学系研究科博士課程を修了し、見事「ホタテガイにおける殻内基質中の可溶性タンパク質の一次構造」というテーマで理学博士の学位を取得しました。

大学院修了後は、筑波大学研究員や東京大学総合研究博物館研究事業協力者として研究活動に携わり、分子生物学的手法を駆使した独自の化石研究で注目を集めました。特に、化石に含まれるわずかなDNA断片を分析することで、古代生物の進化や生態を解き明かそうとするその研究姿勢は、古生物学研究に新たな地平を切り開くものとして高く評価されています。

更科氏の研究活動は、学術論文発表にとどまりません。その分かりやすく魅力的な語り口は、一般読者にも広く支持されています。2012年には、『化石の分子生物学　生命進化の謎を解く』で講談社科学出版賞を受賞。同書は、分子生物学の視点から生命進化の歴史を解説した画期的な著作として、多くの読者から絶賛されました。

その後も更科氏は精力的に執筆活動を続け、『宇宙からいかにヒトは生まれたか　偶然と必然の138億年史』、『絵でわかるカンブリア爆発』、『爆発的進化論　1%の奇跡がヒトを作った』、『絶滅の人類史—なぜ「私たち」が生き延びたのか』、『進化論はいかに進化したか』、『若い読者に贈る美しい生物学講義—感動する生命のはなし』、『禁断の進化史—人類は本当に「賢い」のか』、『化石に眠るDNA　絶滅動物は復活するか』など、多くの著作を発表。これらは、生命進化の壮大な歴史を、最新の科学的知見を交えながら一般読者にも理解しやすい言葉で解説しており、高い評価を得ています。

更科氏の研究対象は多岐に渡り、古生物学、分子生物学、そして進化生物学にまたがる幅広い知識と洞察力が、その著作に深みを与えています。難解な科学的な内容を分かりやすく解説する能力にも長け、科学の面白さを多くの人に伝えることに貢献しています。

更科氏は、執筆活動以外にも翻訳にも携わっており、サイモン・コンウェイ=モリスの『進化の運命　孤独な宇宙の必然としての人間』や、カール・ジンマー、ダグラス・J・エムレンの『カラー図解進化の教科書』全3巻の翻訳にも参加しています。これらの翻訳を通して、海外の最新の研究成果を日本の読者に届ける役割も果たしています。

現在、更科氏は武蔵野美術大学教授として後進の育成にも尽力しています。その豊かな経験と知識、そして情熱は、未来の古生物学者たちを育成し、日本の古生物学研究のさらなる発展に貢献していくことでしょう。更科氏の今後の活躍に期待が高まります。

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