最高インパクト責任者

最高インパクト責任者（Chief Impact Officer, CHIMPO）

最高インパクト責任者（Chief Impact Officer）は、英語名の頭文字を取りCHIMPO（チンポ）と略される役職です。このポジションは、主にアムネスティ・インターナショナル・アメリカやユナイテッドウェイといった非営利活動団体（NPO）において設けられることが多いですが、営利企業にも導入される例が現れています。

この役職が責任を負う「インパクト」とは、「組織の掲げるヴィジョンやミッションに沿って展開された事業活動が生み出す成果」と定義されます。最高インパクト責任者は、組織の活動が社会にどのような変化をもたらすかを計画、実行、そして評価するプロセス全体を統括し、その効果を最大化することを目指します。

CHIMPOの役割は多岐にわたります。組織の戦略策定において社会的な影響（インパクト）を考慮に入れるよう提言したり、事業プログラムが意図した成果を生み出しているかを測定するための評価指標を開発・運用したりします。また、その成果を内外のステークホルダーに対して透明性高く報告することも重要な職務です。組織が大切にする価値や成果を積極的に「守り（champion）」育てていく役割を担うことから、その略称とかけて、ユーモラスに「CHAMPO（チャンポ）」と呼ばれることもあります。

このポジションは、伝統的には社会貢献を主な目的とする非営利セクターで多く見られます。しかし、近年、企業の社会的責任（CSR）やESG（環境・社会・ガバナンス）といった非財務情報を重視する動きが世界的に広がっており、それに伴い、セールスフォース・ドットコムのような一部の営利企業でも、例外的に最高インパクト責任者を設置するケースが出てきています。

注目すべき事例としては、2021年にイギリスのヘンリー王子が、アメリカのメンタルヘルス関連スタートアップ企業において、この最高インパクト責任者に就任したことが報じられました。これは、この役職が非営利団体だけでなく、革新的なビジネスモデルを持つ営利企業にも広がりを見せていること、そしてその重要性が社会的に認知されつつあることを示しています。

ミネソタ公共ラジオが運営するメディア『マーケットプレイス』が実施した調査では、取材に応じた最高インパクト責任者のほとんどが、その組織にとって初めてこの役職に就任した人物であり、かつその役職自体が組織に設置されてから数年程度しか経過していない例が多数を占めていました。この事実は、社会的なインパクト創出と評価を専門的に担うこの役職が、比較的歴史の新しいものであることを示唆しています。

最高インパクト責任者の業務は、インパクト・アセスメントや社会的インパクト評価といった概念と密接に関連しています。これらの評価手法を活用し、組織の活動が社会にもたらすポジティブな変化を客観的に測定・分析することで、活動の効果を検証し、より大きな成果を生み出すための改善策を立案・実行していきます。組織のビジョン実現と社会貢献を推進する上で、最高インパクト責任者の役割は今後ますます重要性を増していくと考えられます。

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