月に祈るピエロ

『月に祈るピエロ』

本作『月に祈るピエロ』は、中部日本放送（CBC）が企画・制作を手がけ、2013年10月5日にTBS系列を通じて全国に放送された単発のスペシャルドラマです。午後2時から午後3時24分までの枠でオンエアされました。

この作品は、翌年の2014年に放送された『月に行く舟』、そして2015年の『三つの月』へと続く一連のドラマ群、「月シリーズ」と呼ばれる三部作の第一弾として位置づけられています。また、平成25年度の文化庁芸術祭参加作品として出品されています。

物語の核となるのは、顔も知らぬ男女がメールでのやり取りを通して心を通わせていく過程、そしてそこで育まれる「大人の恋愛」です。現代社会におけるコミュニケーションのあり方や、人と人との繋がりにおける心の機微を丁寧に描き出しています。

あらすじ（概要）

物語は、岐阜県の山間部で暮らす一人の女性と、東京で働く一人の男性の間に芽生える交流を中心に展開します。そのきっかけとなるのは、一冊の古い絵本でした。女性が子供の頃から大切にしている絵本『月に祈るピエロ』をオークションサイトで見つけた男性が購入し、女性へ送ったことから、二人の間にメールでの交流が始まります。互いの顔も姿も知らないまま、言葉だけを交わす中で、二人は次第に惹かれ合っていきます。それぞれの抱える事情や日常の中での葛藤、そしてメールでの交流がもたらす変化が描かれていきます。

主要キャスト

玉井 静流：常盤貴子
岐阜県の自然豊かな山間部の町で、祖母や母と共に暮らしている女性。地元の病院受付で働いています。子供の頃に読んだ絵本『月に祈るピエロ』をきっかけに、東京の男性とメールでの交流を開始し、未知の相手に心を惹かれていきます。

戸伏 航：谷原章介
東京の商社に勤務するビジネスマン。オークションサイトで落札した絵本『月に祈るピエロ』を静流に送ったことを機に、彼女とメールで繋がり、交流を深めていきます。

周囲の登場人物

静流の周囲には、様々な人々が登場し、彼女の生活や心情に影響を与えます。

玉井 さくら：八千草薫
静流の祖母。高齢のため介助が必要な状態ですが、穏やかで優しい性格であり、孫の静流には温かく接しています。

玉井 時枝：根岸季衣
静流の母。さくらの介護を担っていますが、静流の行動や考え方に対して常に否定的で、厳しい態度をとります。

谷沢 悠人：宅間孝行
静流の高校時代の同級生。静流が勤務する病院の院長でもあります。

池場 恵：高橋由美子
静流の高校時代の同級生。カフェ「ココロ」を一人で切り盛りしているシングルマザーです。

上記以外にも、井田國彦、仲村春美、岡本あずさ、内田藍子、宮内知美、三輪あすみ、丸山裕征、内田三香子、柴田杏花といった俳優陣が出演しています。

スタッフ

本作の制作には以下の主要スタッフが携わりました。

作（脚本）：北川悦吏子
演出：堀場正仁
プロデューサー：堀場正仁、櫻井美恵子
音楽：富貴晴美
* 絵本デザイン：橋田誠一

また、岐阜県内の郡上市、美濃市、郡上八幡観光協会、岐阜フィルムコミッション、長良川鉄道などがロケ協力を行っています。

技術協力はWING-T、美術協力はKHKアート、ポスプロはビデオスタッフ、装飾はケイプランニング、制作協力は国際放映が担当しました。制作著作は中部日本放送（CBC）です。

このドラマは、メールという現代的なツールを通じて、人と人との繋がりや心の交流の可能性、そして大人の恋愛の奥深さを描いた作品として、文化庁芸術祭参加作品に選ばれました。

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