月刊くるめ

雑誌の概要

『月刊くるめ』は、株式会社Webトレンドデザインが福岡県の筑後地方、福岡市、佐賀市を中心とした地域で発行する月刊誌です。創刊は1979年（昭和54年）。当初は毎月28日に発売され、久留米市やその近隣都市の書店、コンビニエンスストアで入手可能でした。2019年10月以降は福岡市や佐賀市のコンビニでも取り扱いが始まりました。2018年には雑誌名を『gekkle』（略称：月くる）に改称し、現在は奇数月の28日に発行される隔月刊誌となっています。価格は380円です。

地域情報と芸能記事

本誌は地域密着型の情報を提供する傍ら、古くから芸能記事にも力を入れてきました。高校卒業直後の松田聖子や黒木瞳といった有名タレントも登場した経験を持ちます。特に黒木瞳が初めて雑誌の表紙を飾ったのは、『月刊くるめ』であったとされています。

名物コンテスト「いちごプリンセス」

『月刊くるめ』（現gekkle）の最も代表的な企画の一つに、「いちご姫コンテスト」として始まり、2018年に「いちごプリンセスグランプリ」へと名称を変更した美少女コンテストがあります。これは主に筑後地方や歴史・地理的に関連の深い日田市、鳥栖市にある高校に通う女子生徒を対象として年に一度開催されるものです。ちなみに、「いちご」という名称は、果物のイチゴとは直接の関係がなく、「15歳のミスコンテスト」という当初の趣旨に基づいて名付けられましたが、実際には高校3年生が圧倒的多数を占める状況が続いています。

このコンテストの選考プロセスは特徴的です。毎年2月頃、スタッフが対象となる約46校の高校へ聞き込み調査などを実施し、各校から人気の高い女子生徒「いちごプリンセス」を2名ずつ選抜します。選ばれた生徒は本誌に紹介され、読者は誌面に付属する投票はがき、地域の協力店舗に設置された投票箱、あるいはインターネットのいずれかの方法で投票を行います。最終的なグランプリは、毎年8月に久留米市民会館などで開催される大規模な式典で決定され、表彰を受けることになります。式典では、いちごプリンセスたちが着物姿で登場するほか、ゲストとして芸能人が招かれるといった催しも行われます。

歴代のいちごプリンセスからは多くの芸能界に進出した人物が出ており、松雪泰子、有坂来瞳、池松愛理らを輩出したほか、福岡を拠点とするローカルアイドルグループCQC'sの井上倫子や福本莉彩、元QunQunセンターの深谷理紗など、福岡の芸能界にも多くの人材を送り出しています。そのため、東京や福岡の芸能関係者からも注目を集めており、一部の芸能事務所は本誌を定期購読しているとも言われています。

もう一つのコンテスト「ハイスクールヒーロー」

近年は、「いちご姫」の男性版にあたる『ハイスクールヒーローコンテスト』も開催されています。こちらも対象地域の約46校（男子校も含まれるため、参加校は女子生徒のみを対象とする『いちごプリンセス』とは異なります）から各1名ずつが選抜され、読者投票によって翌年2月にグランプリが決定されます。

「いちご姫」名称問題の経緯

ここで注意が必要なのは、「いちご姫」および「いちご姫コンテスト」という名称が、本誌と長年協賛関係にあった田中屋呉服店の登録商標（商標登録番号5910190）であるという点です。2018年に本誌が『gekkle』に改称するのに伴い、田中屋呉服店は単独主催による「新生いちご姫コンテスト」を開始しました。これにより、『gekkle』主催の「いちごプリンセスグランプリ」と、田中屋呉服店主催の「新生いちご姫コンテスト」という、名称が類似する二つのコンテストが並存する状況となりました。

『gekkle』の「いちごプリンセスグランプリ」は、開催回数を引き継いでいることなどから、誌面上のコンテストとしては正当な流れを汲んでいると見なされます。しかし、選出方法や対象地域が以前と異なる部分があり、芸能モデル事務所との関連性が濃い傾向があるようです。一方、田中屋呉服店の「新生いちご姫コンテスト」は、従来の他薦や聞き込みによる選出方法、筑後地区を中心とした選出という点で、地域住民にとっては馴染みのある形を残しています。ただし、こちらは本誌から独立したため、エントリー状況の確認は田中屋呉服店の店舗や専用ホームページに限定されるなど、従来とは異なる情報入手経路となっています。

このように、分裂後も双方が「いちご」の名を冠しながらも、それぞれ主催者、選出方法、情報公開の形式が異なる別のコンテストとして運営されています。

『月刊くるめ』から『gekkle』へと形を変えながらも、地域に根ざした情報発信と、未来のタレントを発掘するコンテスト企画は、筑後地方を中心に広い範囲で影響力を持っています。

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