有志連合

有志連合とは

有志連合（ゆうしれんごう、Coalition of the Willing）は、冷戦後の1990年代以降に形成された国際連携の形態であり、国際連合が提供する枠組みの外で行われる平和維持活動や軍事介入を行う国々の集合体を指します。この連合は、地域的制約を受けずに、特定の意志と能力を持つ国々が集まることで成立しています。特に、日本語ではテロとの戦いに参加する国々のことを指す場合が多く、ここでの呼称は「国際的反テロ連合」とされることもあります。

背景

1993年以降、国際連合の枠組みに基づく平和維持活動が難しくなるケースが増加しました。このため、関連する国々が協力して活動を進める必要が高まりました。たとえば、1994年6月にアメリカ合衆国のビル・クリントン大統領が北朝鮮との交渉において「Coalition of the Willing」という表現を用いたことが、その起源のひとつとされています。このフレーズは、後にイラク戦争や他の国際的な軍事行動においてもしばしば使用されるようになります。

イラク戦争における有志連合

2001年のアメリカ同時多発テロ事件の後、アメリカはテロ組織との戦いを宣言。国連加盟国189カ国がテロ行為を非難する決議に賛同しました。その中で、当時の国防長官ドナルド・ラムズフェルドは「人類史上最大の連合」と称しましたが、この連合は国連の承認を経ていないため、国連軍とは異なる扱いを受けました。特にイラク戦争においてこの呼称が有名になりました。

過去の湾岸戦争にも、有志連合の性質は見られました。当時、アメリカ中心にエジプト、シリア、サウジアラビアなどの国々が多国籍軍を結成し、イラクに進攻しました。この際、日本は約3年間で1万人以上をイラクへ派遣しましたが、その目的は武力行使とは異なり、現地の復興や治安維持、さらには多国籍軍への後方支援に限られていました。派遣国も、戦闘が行われていない地域に限定することを原則としていましたが、実情としては、常に安全とは言えない状況が続き、自衛隊は派遣開始当初から武装勢力による攻撃の危険にさらされていました。

過激派組織ISILへの対応

2014年8月8日には、アメリカを中心とした複数の国が有志連合として、イラクで活動を拡げる過激派組織ISILに対して空爆を実施しました。この時の参加国も、従来の有志連合に相当する形をとりましたが、日本のメディアでは「有志国連合」として報じられました。これにより、有志連合の概念は新たな局面を迎えることになります。国際連合の形をとらずに行動するこの新たな連携が、国際社会の安全保障の枠組みをどのように変えるのか、今後の動向に注目が必要です。

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