有楽映画劇場

有楽映画劇場

有楽映画劇場は、かつて福岡県北九州市八幡東区前田に位置していた映画館で、地元では「前田有楽」の愛称で親しまれていました。1954年の開館以来、地域の映画文化を支え、数々の映画ファンに愛されてきましたが、2019年にその歴史に幕を閉じました。

沿革

有楽映画劇場は、高度経済成長期の1954年に一般映画館として開館しました。当時、中央町から黒崎にかけての電車通り沿いには約40もの映画館が軒を連ね、当館もその一つとして賑わいを見せていました。しかし、1971年に日活がロマンポルノの制作に転換したことを機に、一般映画とピンク[[映画]]の併用上映を開始し、その後は成人映画専門館へと移行しました。

特筆すべきは、1954年の開館からほとんど改築・改装を行わずに営業を続けていた点です。この点が、昭和30年代の映画館の雰囲気を色濃く残しており、映画監督・佐々部清の目に留まりました。佐々部監督は、自身の映画『カーテンコール』のオールロケ地に当館を選び、そのレトロな雰囲気を映画の中に収めました。また、『ALWAYS 続・三丁目の夕日』でも映画館のシーンのロケ地として使用されるなど、その存在感は映画界でも注目されました。さらに、北九州フィルム・コミッションによる映画やドラマのロケ誘致にも貢献し、北九州における映像制作の活性化にも一役買いました。

しかし、赤字経営や建物の老朽化、経営者の高齢化といった複合的な要因により、2019年6月27日に閉館という決断に至りました。閉館に際しては、同年6月29日に「さよなら前田有楽まつり」と題したイベントが開催され、多くの映画ファンや地域住民が別れを惜しみました。イベントでは、館内や映写室の見学会、AV女優の倖田李梨さんによる抽選会やトークショーなどが行われ、盛況のうちに幕を閉じました。その後、建物は解体され、有楽映画劇場の姿は失われました。

年表

1954年（昭和29年）：開館。
2019年（平成12年）6月27日：閉館。

脚注

有楽映画劇場 - 「港町キネマ通り」（2011年9月）
有楽映画劇場 (@maedayuraku) - X（旧Twitter）

有楽映画劇場は、その歴史と昭和レトロな佇まいを通じて、地域の人々に愛された映画館でした。閉館後も、その存在は多くの人々の記憶に残り続けています。

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