有田村 (新潟県)

有田村（ありたむら）

概要

新潟県の中頸城郡にかつて存在した自治体、それが有田村（ありたむら）です。明治時代に発足し、昭和時代中期にかけて約65年間存続しました。現在の新潟県上越市の一部、特に直江津区にあたる地域に位置していました。この村は、当時の町村制に基づき、周辺の複数の旧村の一部区域を統合して誕生したものであり、その歴史は昭和の大合併期に直江津町へ編入されることで閉じられました。

沿革

発足

有田村の歴史は、近代日本における地方行政制度の大きな変革期に始まりました。明治22年（1889年）4月1日、日本全国で町村制が施行されたことに伴い、従来の村々が再編され、新たな行政単位としての市町村が各地に誕生しました。新潟県中頸城郡においても、この法制度に基づいた町村合併が進められました。

具体的には、この地域に存在していた春日新田村、下門前村、松村新田、安江村、三ツ屋村、福田村、左内村、下源入村、上源入村、三橋村、三ツ橋新田、三田新田、三田村、小猿屋村、小猿屋新田、そして塩屋新田村といった多様な村々の一部区域が統合されることとなりました。これらの地域をまとめて一つの行政区域とする形で、中頸城郡に新しい村が設置されたのです。この時、複数の在来村の一部を合わせて成立した自治体こそが、有田村（ありたむら）です。このように、有田村は明治時代の全国的な町村再編の流れの中で、その産声を上げました。

廃止

有田村は、その発足からおよそ65年の間、中頸城郡の一村として存続し、地域の行政を担ってきましたが、昭和時代に入ると再び全国的な市町村合併の大きな波が押し寄せます。これは「昭和の大合併」と呼ばれる行政改革の一環であり、地方自治体の規模拡大や行政サービスの効率化を目指して多くの自治体が合併・編入されていきました。

有田村もまた、この広域合併の流れの中に位置づけられました。そして、昭和29年（1954年）6月1日、有田村は隣接していた中頸城郡直江津町に編入されることが決定し、村としての行政区画としての歴史に終止符が打たれました。奇しくも、有田村が編入されたその同じ日、直江津町は市制を施行し、直江津市へと移行しました。このため、旧有田村の区域は、直江津市が誕生したその瞬間に、新しい市の区域の一部となったと言えます。有田村の廃止と直江津市の誕生は同時に進行した出来事でした。

この合併により、有田村という名称は行政単位からは消滅しましたが、かつて村であった地域はその後も発展を続け、直江津市の一部として歩んでいくことになります。その後のさらなる市町村合併を経て、直江津市は上越市の一部となり、旧有田村の地域は現在、上越市直江津区内の各地域としてその歴史を継承しています。

参考文献

『市町村名変遷辞典』東京堂出版、1990年。

関連項目

新潟県の廃止市町村一覧

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