有田泰而

有田泰而の生涯と業績

有田泰而（ありた たいじ、1941年1月31日 - 2011年7月17日）は、日本の著名な商業写真家であり、さまざまな芸術形態に挑戦した人物です。彼は1970年代から1990年代にかけて、主に写真界で活動し、その過程で多くの影響力のある作品を生み出しました。

幼少期と教育

有田は福岡県小倉市で生まれました。中央大学法学部に進学するものの、すぐに写真家としての道を模索し始めました。東京綜合写真専門学校に入学し、著名な写真家・石元泰博の指導を受けました。この時期に得た技術と視点が、彼の将来的な作品に大きな影響を与えることになります。

写真家としてのキャリア

1964年から1991年の間、有田は主に写真家として活動しました。1964年から1966年までは日本デザインセンター写真部に所属し、その後はフリーランスとして、広告企業や出版社向けに作品を提供していきました。1975年には、自身の家族をモデルにした作品「First Born」を発表。これが彼のスタート地点となり、以降の作品にも大きな影響を与えました。

1977年にはカナダのオンタリオ州へ移住し、さらに国際的な視野を広げました。そこでの経験は、彼の作品に新たな深みを加えました。1980年には東京に戻り、有田スタジオを設立し、ここでも商業写真の制作に特化しました。

芸術への探求と表現

1988年に発表した画集『裸者の森』は、有田にとって大きな転機となりました。この本では71枚の油絵を収め、芸術活動の幅を広げました。有田にとって芸術は、写真だけではなく、生き方そのものであり、彼はそのメリットを追求していきました。

海外での制作活動と生活

1992年には南カリフォルニアに移り住み、当初は日本の出版社やテレビ局向けに写真やビデオ制作を行っていましたが、次第に油絵や彫刻などの作品に力を入れるようになりました。2000年には、カリフォルニア州北部のメンドシーノに移り、そこでの生活を楽しみながら、芸術的な生活を追求しました。

彼が残した作品群の中でも、「Fruit of the Redwoods」は特に印象的です。これは樹齢1000年以上のレッドウッドの切り株を素材として構成された作品で、彼の芸術的探求の集大成とも言えるものです。この作品は、カリフォルニア北部の木工工芸の新たな基準ともなりました。

最後の日々と遺産

有田は2011年7月17日にフォート・ブラッグにて70歳で亡くなりました。彼の作品は多くの写真館に収蔵され、特に「ファーストボーン」シリーズの68枚は東京都写真美術館に永久保存されています。

有田の業績は、単なる商業写真にとどまらず、芸術全般に影響を与えるものでした。彼の追求した美と自然との関係は、今なお多くのアーティストにとってインスピレーションの源となっています。

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