有賀正

有賀正は、1931年（昭和6年）に長野県東筑摩郡並柳村に生まれ、2017年（平成29年）に85歳で亡くなった政治家です。松本県ヶ丘高等学校を卒業後、農業に従事しましたが、後に政治の世界へと転身しました。

1971年に長野県議会議員に初当選し、民社党公認として活動しました。その後、1992年3月には松本市長に初当選。1996年と2000年の選挙でも再選を果たし、3期12年市長を務めました。2004年の選挙では4選を目指しましたが、落選。市長退任後には、松本市名誉市民に選ばれています。

市長在任中には、ハードウェア重視の公共事業を積極的に推進しました。特に、都市整備に力を入れ、まつもと市民芸術館の建設や、篠ノ井線新駅の建設、国道19号の4車線化などを実現しました。また、財政政策にも手腕を発揮し、起債制限比率を1割台に、経常収支比率を70%台に抑え、健全財政を維持しました。

これらの実績から、都市整備や財政手腕については高い評価を得ていましたが、その一方で、強引な政治手法に対する批判も少なくありませんでした。特に、老朽化した市民会館の取り壊しと市民芸術館の建設を巡っては、競争入札の不透明さや、市民会館から用途が限定されるオペラ劇場への転換、巨額な建設費などが問題視され、市民の間で反対運動が起こりました。また、有賀氏は「中南信地域の代表者」を自称し、当時の長野県知事・田中康夫氏と度々対立しました。

これらの批判が、2004年の市長選挙で噴出し、多選批判や高齢批判も重なり、落選に至りました。しかし、有賀氏の松本市の発展に貢献した功績は、現在でも評価されています。

有賀正は、その政治手腕と強引な手法の両面で、松本市の歴史に名を残した人物であると言えるでしょう。

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