有限責任事業組合契約に関する法律

有限責任事業組合契約に関する法律

「有限責任事業組合契約に関する法律」（ゆうげんせきにんじぎょうくみあいけいやくにかんするほうりつ）は、2005年（平成17年）5月6日に平成17年法律第40号として公布・施行された、日本における特別な事業組合形態に関する法規です。

この法律が制定された主な目的は、複数の個人または法人が共同で営利を目的とした事業に取り組む際に、参加する組合員の責任範囲を出資した金額の価額に限定する新たな制度を確立することにあります。これにより、出資者は事業が失敗した場合でも、出資額以上の債務を負うリスクから解放されます。

こうした制度を設けることで、多様な主体がリスクを限定しながら連携しやすくなり、革新的な事業や共同研究開発など、個人や法人が協力して行う事業の健全な発展を促進することを目指しています。結果として、新たな事業の創出や活性化を通じて、日本経済全体の活力向上に貢献することも、本法律の重要な狙いとされています。

通称「日本版LLP（Limited Liability Partnership）」と呼ばれる有限責任事業組合は、まさにこの法律に基づき組成・運営される事業体です。従来の民法上の組合と比較して、組合員の有限責任制が最大の特色であり、事業のリスク管理という観点から、新たな共同事業の選択肢として広く活用されています。

本法律は、以下の章立てで構成され、有限責任事業組合契約に関する様々な側面について詳細な規定を設けています。

第一章 総則（第一条 - 第十条）
この章では、法律全体の基本的な考え方や用語の定義、有限責任事業組合契約の性質など、根幹に関わる事項が定められています。

第二章 組合員の権利及び義務（第十一条 - 第二十三条）
組合員の出資義務、損益分配、業務の執行権限、競業避止義務など、組合員としての立場における具体的な権利と義務について規定しています。

第三章 組合員の加入及び脱退（第二十四条 - 第二十七条）
新たに組合員となるための手続きや、既存の組合員が組合から脱退する際の要件や効果について定めています。

第四章 計算等（第二十八条 - 第三十六条）
組合の事業年度、会計処理、計算書類の作成、組合財産の評価など、組合の財務や経理に関するルールが定められています。

第五章 組合の解散及び清算（第三十七条 - 第五十五条）
組合が事業活動を終了する際の解散事由、解散後の清算手続き、残余財産の分配など、終了に関するプロセスが詳細に規定されています。

第六章 民法の準用（第五十六条）
この章では、有限責任事業組合契約について、この法律に特別な定めがない場合に、民法上の組合に関する規定をどのように準用するかを定めています。

第七章 登記（第五十七条 - 第七十三条）
有限責任事業組合の設立、変更、解散など、法律上必要な登記手続きとその方法に関する規定が置かれています。

第八章 組合財産の分割禁止の登記（第七十四条）
特定の組合財産について、共有状態の維持を図るために分割を禁止し、その旨を登記する制度について定めています。

* 第九章 罰則（第七十五条・第七十六条）
この法律の規定に違反した場合に適用される罰則に関する条項です。

上記の各章に加えて、法律の施行に関する経過措置などを定めた「附則」が付されています。

有限責任事業組合契約に関する法律は、共同事業における新たな形態としてLLPを導入し、日本のビジネス環境における多様なニーズに応えるとともに、経済の活性化に寄与することを目指す重要な法律です。

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