服部大池

服部大池について

概要

服部大池（はっとりおおいけ）は広島県福山市駅家町に位置するため池です。この池は江戸時代に芦田川水系の服部川をせき止める形で造られ、現在でも活用されています。2010年には農林水産省により、広島県において唯一の「ため池百選」に認定され、その重要性が再認識されています。

建設の歴史

服部大池の建設は1643年（寛永20年）に始まりました。この事業は福山藩の初代藩主、水野勝成によるもので、彼の隠居後に神辺平野での干ばつに対処する目的で着手されました。総奉行には神谷治部が任命され、服部川を堰き止めることによって池が造られました。

池は1645年（正保2年）に完成し、周囲の20ヶ村に水を供給し、地域の農業や治水を安定させる役割を果たしました。その後も改修工事が行われ続け、1997年には大規模な改修が実施されました。池の周辺は公園として整備されており、特に春には桜が咲き誇り、多くの市民に親しまれています。

人柱伝説

服部大池にまつわる人柱伝説は、この池の築造にまつわる難工事から生まれました。伝説によると、堤の建設中に「人柱」が捧げられたそうです。その人柱は病気の母の代わりに働くことになった16歳のお糸だとされています。彼女は、貧しい未婚の娘であり、着物の横つぎのために選ばれたとも言われています。

お糸には恋人がおり、彼女の名を呼び続ける若者が毎夜池の堤に現れましたが、最終的にその若者は池に身を投げてしまいます。この出来事を知った人々は、お糸とその恋人の霊を慰めるために弁財天を祀り、松と槙を植えたのです。また、後に二本の木の根が絡み合う現象が見られ、「比翼の松」という名で知られるようになりましたが、現在は枯れてしまっています。お糸大明神として祀られているといいます。

この伝説は地元で広く信じられているものの、江戸時代の文献には類似の話は存在せず、石碑も後年に作られたものです。堤の改修工事で人骨が発見されたという噂もありませんが、話自体は昭和初期から広まり、戦後には同和道徳教育の教材として使用されたため、信憑性が高まったのです。

結論

服部大池は、その美しい風景と豊かな歴史があり、地域の人々に愛され続けています。江戸時代に築かれたため池としての役割は今でも健在で、訪れる人々にとって大切な場所となっています。また、お糸伝説は地域の文化を深める要素として、語り継がれています。

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