服部幸三

服部幸三

服部幸三（1924年3月10日 - 2009年10月8日）は、日本の音楽学者であり、東京藝術大学の名誉教授でした。彼は特に西洋音楽史、中でもバロック音楽に深い知識を持ち、その研究と普及に生涯を捧げました。

生涯

鹿児島県に生まれた服部は、1949年に東京大学法学部を卒業後、音楽の道へと進みました。1951年には東京音楽学校（後の東京藝術大学音楽学部）の非常勤講師となり、音楽学科の設立準備に携わります。翌年には常勤講師、1954年には助教授に昇進し、教鞭を執りました。

1959年からは、フンボルト財団の留学生として西ドイツのフライブルク大学に留学し、さらに研究を深めました。帰国後の1961年からは、東京藝術大学で教鞭を執り続け、1963年には大学院修士課程の助教授、1970年には教授に就任しました。

服部は、ハインリヒ・シュッツの研究にも力を注ぎ、その功績が認められ、没後300年の式典に西ドイツ政府から招待を受けるという栄誉に浴しました。1976年から1983年まで音楽学会（現日本音楽学会）の会長を務め、1986年から1990年までは東京藝術大学音楽学部長として、大学の運営にも貢献しました。

1991年に東京藝術大学を定年退官した後も、その研究活動は衰えることなく、2000年には勲二等瑞宝章を受章しました。2009年10月8日に逝去。

業績

服部の業績は、バロック音楽研究の分野で特に顕著です。著作、翻訳、ラジオ番組などを通じて、バロック音楽の魅力を日本に広め、多くの人々にその素晴らしさを伝えました。また、音楽学会の設立に参画し、長年にわたり東京藝術大学で教鞭を執ることで、日本の音楽学の発展に大きく貢献しました。

主な著書・訳書

訳書『ピアノ音楽史』（アーペル） 1957年
訳書『オペラ史』（グラウト） 第1巻1957年、第2巻1958年
編著『ロココ・ピアノ曲集』 1958年
訳書『音楽史 グレゴリオ聖歌からバッハまで』（パリッシュ＝オール） 1958年
訳書『音楽の歴史と思想』（ライヒテントリット） 1959年
編著『バロック・ピアノ曲集』 1961年
共著『レコードによる音楽の歴史と鑑賞』 第1巻1963年、第3巻1964年
共訳『西洋音楽史』（グラウト） 上1969年、下1971年
著・監修『音楽教育成立への軌跡』 1976年
著書『バロック音楽の楽しみ』 1979年
共訳『テレマン---生涯と作品』 1981年
著書『西洋音楽史 バロック (西洋音楽史シリーズ 2)』 2001年、音楽之友社

出演番組

バロック音楽のたのしみ（NHK-FM）
バロック音楽をあなたに（エフエム東京）

服部幸三は、日本の音楽界において、バロック音楽研究の礎を築いた重要な人物として、その功績は永く記憶されることでしょう。

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