服部明世

服部 明世（はっとり あきよ、1940年 - 2014年）は、日本の造園分野における重要な人物であり、長年にわたり建設官僚として公園緑地行政に貢献するとともに、退官後は教育者、研究者としても活躍した。

来歴

京都市の出身で、両親ともに京都府にルーツを持つ。洛星高等学校を経て、1964年に東京大学農学部を卒業。

公職での活躍

建設省時代

1969年、建設省に入省し、公職としてのキャリアをスタートさせる。その後、都市局公園緑地課で建設専門官（1984年）を務めるなど、公園や緑地の整備に関わる行政に深く携わった。

大津市助役

1985年4月から1988年1月にかけては、大津市に助役として出向。地方自治体の現場において、都市づくりや行政運営に貢献した。

国際花と緑の博覧会

1990年に大阪で開催された国際花と緑の博覧会（通称「花の万博」）においては、建設省都市局の国際花と緑の博覧会推進室長として、その成功に向けた推進業務を担った。この経験は、広大な緑地空間の創出と運営に関する知見を深める機会となった。

医学博士号取得

特筆すべき功績として、1989年に岐阜大学から医学博士の学位を取得したことが挙げられる。これは造園関係者としては初めてのことであり、「健康づくりに関する研究 環境と運動の及ぼす影響について」と題された研究は、都市環境や緑地が人間の健康に与える影響という、学際的かつ先駆的な視点からのアプローチを示唆するものだった。この業績は、緑地行政の意義を科学的に裏付ける上で重要な一歩となった。

住宅・都市整備公団

1992年からは住宅・都市整備公団の理事を務め、特に緑地部長として、住宅地の緑化推進や良好な都市環境の整備に尽力した。その後、建設大臣官房審議官を経て、長年の官僚としての務めを終え退官した。

退官後の活動

大阪芸術大学教授

1998年に大阪芸術大学の教授に就任し、環境デザイン学科で教鞭をとった。教育者としては、「芸術活動の心身におよぼす効果に関する研究」などをテーマに、緑や芸術が人間に与える影響について研究を進め、後進の育成にあたった。

各種団体での活動

公職退任後も、日本の都市緑化や造園分野の発展に貢献し続けた。特に、都市緑化技術開発機構（現在の都市緑化機構）では理事を務めた後、理事長として団体の運営と事業推進を主導した。また、国際造園研究センターでも理事長を務めるなど、国内外における造園分野の研究振興にも力を注いだ。

主な著書と栄誉

編集主幹を務めた書籍

2005年に出版された『日本の都市公園 その整備の歴史』（「日本の都市公園」出版委員会、インタラクション）では、編集主幹として本書の企画・構成をまとめ、日本の都市公園の歩みを記録として残す上で中心的な役割を果たした。

受賞・叙勲

長年の功績が認められ、2005年には第17回日本公園緑地協会北村賞を受賞。さらに、2010年には瑞宝小綬章を受章し、その功労は高く評価された。

服部明世氏は、官僚として緑地行政の発展に寄与し、教育者・研究者として学術的な知見を深め、各種団体のリーダーとして都市緑化の推進に尽力するなど、多岐にわたる活動を通じて日本の都市環境と人々の暮らしの質の向上に貢献した人物である。

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