朗かに歩め

映画『朗かに歩め』の概要

『朗かに歩め』は、1930年3月1日に公開された日本の映画で、松竹キネマが製作・配給を手がけています。この作品は名監督・小津安二郎によって監督され、モノクロでスタンダードなサイレント映画として同時代の日本社会を映し出しています。映画の長さは95分です。

小津監督の影響

この作品は、小津監督がアメリカ映画に強く影響を受けて制作されたと言われています。映画には、自動車やゴルフ、タイピスト、ピクニックといった、当時の日本においては珍しい洋風の要素が取り入れられており、主人公たちはモボ・モガと呼ばれるハイカラな若者たちとして描かれています。これらの要素は、当時の社会における新しいライフスタイルや価値観の変化を反映しています。

映画技術と演出

『朗かに歩め』では、特に目を引くのは多様な撮影技法です。俯瞰撮影や移動撮影が使用されており、自動車の走行シーンは非常にダイナミックに表現されています。また、2人の人物が向かい合って会話を交わすツーショットも見ることができ、これは小津の後の作品には見られないアプローチです。これらの技法は、当時の映画製作における先端的な試みを示しており、小津の独自性を際立たせています。

あらすじ

映画は、謙二と仙公という二人のヤクザ仲間を中心に進行します。ある日、謙二は街中で見かけたやす江に惹かれ、彼女との出会いが物語の鍵となります。やす江と妹のみつ子がピクニックに出かけた際、みつ子が謙二の運転する自動車にひかれそうになる出来事が、二人の関係の始まりとなります。しかし、やす江は謙二の職業を知ってしまい、彼との接触を拒むことになります。この出来事が、謙二のヤクザからの足を洗う決意に繋がります。

その後、謙二と仙公はそれぞれ新たな職に就きます。謙二はビルの窓清掃員、仙公は社用車の運転手として生活を始めます。ところが、再びヤクザ仲間からの誘いがあり、謙二は仕事を断りたいと思いながらも、引きずり込まれそうになります。このもみ合いの中で、謙二は銃で撃たれ怪我をしてしまいます。

その後、やす江が謙二の看護をする中、警察が押し入り、謙二は逮捕されてしまいます。この場面では、変わり使えられた仙公も一緒に連行され、彼の運命もまた厳しいものとなるのです。時が経過し、やがて出所した謙二と仙公をやす江が温かく迎え入れることで物語は締めくくられます。

まとめ

この『朗かに歩め』は、時代を反映したハイカラな生活を描きつつ、ヤクザからの脱却を目指す男の成長物語を展開しています。小津安二郎監督らしい斬新な技法と視点が光る作品として、後の映画史においても重要な位置づけとなることでしょう。

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