朝日貝塚

富山県氷見市に眠る複合遺跡、朝日貝塚

富山県氷見市朝日丘に位置する朝日貝塚は、縄文時代前期から中世にかけての長い期間にわたる複合遺跡として知られています。市街地の南西、朝日山丘陵の東南裾に広がり、湊川へと続く緩やかな斜面に位置しています。

発見と発掘調査の歴史

朝日貝塚が最初に発見されたのは1918年（大正7年）のことです。誓度寺の建設中に偶然発見され、その際にはすでに土器片が散布していることが地元で知られていました。同年10月には、大境洞窟住居跡の発掘調査で氷見市を訪れていた東京帝国大学人類学教室の柴田常恵らによって発掘調査が行われました。その価値が認められ、1922年（大正11年）には国の史跡に指定されています。

1924年（大正13年）には2回目の調査が実施され、国内で初めてとなる炉跡のある住居跡が2棟確認されました。これらの住居跡は、縄文時代前期末と縄文時代中期前葉から中葉にかけてのものが重複しており、現在は保存舎の中で見学することができます。

考古学史における重要な意味

朝日貝塚は、日本海沿岸地域において特に重要な遺跡と位置づけられています。その理由は、日本国内で初めて住居跡が発見された遺跡であるという点にあります。この発見は、日本の考古学研究を遺物中心のアプローチから、原始時代の生活そのものを研究する方向へと大きく転換させるきっかけとなりました。

貴重な出土品

朝日貝塚からは、バスケット形土器やヒスイの大珠など、貴重な遺物が出土しています。特にヒスイの大珠は、長さが16センチメートルにも及び、国内で発掘されたものとしては最大級と評価され、国の重要文化財に指定されています。

現在の朝日貝塚

現在、朝日貝塚は史跡公園として整備され、出土品を展示する資料館も併設されています。縄文時代の生活を垣間見ることができる貴重な場所として、多くの人々が訪れています。

参考情報

氷見市公式サイト：朝日貝塚（史跡）
文化庁国指定文化財等データベース
* 全国遺跡報告総覧

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