朝田のぼる

朝田 のぼる

朝田 のぼる（あさだ のぼる）氏は、1955年（昭和30年）11月9日に福井県福井市で生まれ、2023年（令和5年）10月19日に67歳で逝去した日本の演歌歌手です。デビュー当初はサンミュージックプロダクションに所属し、徳間音楽工業からレコードをリリースしていました。

略歴

朝田氏のキャリアは、日本テレビ系の人気オーディション番組『スター誕生!』から始まりました。1975年11月2日に放送された決戦大会において、細川たかし氏の楽曲「みれん心」を歌唱し、審査員特別賞に輝きました。この受賞をきっかけに、徳間音楽工業からスカウトを受けます。

翌1976年1月20日、歌手としての道を歩むため上京。太陽にちなんだ「朝田のぼる」という芸名は、「サンミュージックの看板になるように」との願いを込めて名付けられたといいます。上京後は、サンミュージックの社長であった相澤秀禎氏の自宅で、当時同じ事務所に所属していた桜田淳子さんらと共に共同生活を送りました。

1976年5月1日、青春演歌と銘打たれたシングル「白いスカーフ」でレコードデビューを果たします。デビュー当日には実母と会う機会があったそうです。この楽曲はオリコンチャートで最高40位にランクインし、当時の新人としては非常に良好なセールスを記録しました。デビュー時のキャッチフレーズは「触れ合う笑顔」。同年6月21日には、フジテレビの看板歌番組である『夜のヒットスタジオ』に初めて出演し、その歌声と存在感を全国に知らしめました。

デビュー以降、その実力は高く評価され、数々の音楽賞を受賞しました。具体的には、第7回日本歌謡大賞放送音楽新人賞、第9回新宿音楽祭銀賞、第3回横浜音楽祭新人賞、第2回日本テレビ音楽祭、第9回銀座音楽祭、第3回飯塚音楽祭など、多くの栄誉に輝いています。

『スター誕生!』にもその後も縁が深く、1977年の200回記念ハワイ大会や、翌1978年の7周年記念回にもゲストとして出演しました。特に7周年記念回では、出演者への寄せ書きに「真愛♡」と記すなど、番組への思い入れを示しています。

1979年にリリースしたシングル「おやじの酒」もヒットを記録し、朝田氏の代表曲の一つとなりました。この頃から、大御所歌手である都はるみさんと共に全国各地を巡るジョイントコンサートを積極的に行い、「雨の大阪宗右衛門町」といったデュエット曲も発表するなど、親交を深めました。都はるみさんが歌手活動を休止する際の1984年のファイナルコンサートにも出演しています。

1970年代後半から1980年代前半にかけては、歌番組だけでなく、芸能人水泳大会や運動会番組といったバラエティ番組にも積極的に出演し、親しみやすいキャラクターで人気を博しました。

しばらくテレビ出演から遠ざかっていましたが、1988年7月22日放送のフジテレビ『夏休みスペシャル・思い出のアイドルスター大集合IN大磯』に出演し、「白いスカーフ」を久々に披露しました。また、1993年には『スター誕生!』の同窓会企画にも参加しています。ただし、1995年時点ではサンミュージックには所属していなかったとされています。

2010年8月24日放送、2012年9月11日放送のNHK歌謡コンサートにも出演し、「おやじの酒」を歌唱するなど、晩年も時折メディアに姿を見せていました。

2023年10月19日、朝田氏は郷里である福井県福井市の自宅で倒れているところを実の妹によって発見されました。その場で死亡が確認され、突然の出来事であったことから急死と見られています。享年67歳でした。訃報は、親交のあった歌手の加川明氏の公式ブログなどでも伝えられました。

人物・エピソード

朝田のぼる氏は、同じ福井県出身で同じレコード会社に所属していた先輩歌手、五木ひろし氏に雰囲気が似ていると指摘されることがよくありました。朝田氏自身も五木氏を深く尊敬しており、「大好きでいつもレコードを聴いています」と公言するなど、目標とする存在として仰いでいました。

都はるみさんとは特に親交が深く、都さんから着物や楽屋暖簾を贈られたエピソードも残っています。

実父は流し（大道などで歌を歌う人）をしており、地元で歌謡教室も開いていました。朝田氏が『夜のヒットスタジオ』に2回目の出演を果たした1977年3月28日の放送回では、父のアコーディオンと、その弟子のギター伴奏で歌唱するという、家族ぐるみの共演が実現しました。

関係者からは、一見するとやや気弱でのんびりした印象を持たれがちだったものの、実際は非常に律儀で明朗かつ如才ない好青年として評価されていました。遠征先から事務所社長宅へ手紙を送ったり、毎年の元旦には欠かさず新年の挨拶の電話を入れたりと、義理堅く丁寧な人柄がうかがえるエピソードです。

『夜のヒットスタジオ』出演時には、その茶目っ気のある一面を披露し、視聴者を楽しませました。例えば、初出演時のスター家庭訪問映像で、自身が投げているフリスビーを指して「僕のレコードです」とユーモラスに紹介したり、二度目の出演時に五木ひろし氏と並んで似ていると言われた際、より似せようとして目を大きく見開き、五木氏から「なに白目開けてるんだ」と突っ込まれたりといったエピソードがあります。

ディスコグラフィ

シングル

「白いスカーフ」（1976年）
「おやじの酒」（1979年）
他、都はるみ氏とのデュエットシングルなど。

アルバム

『口笛の詩』（1976年）
『星占い』（1984年）

脚注

• - 出典は主に公表された情報に基づいています。

※ この記述は、提供された情報に基づいて作成されています。

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