朝集帳

朝集帳についての詳細

朝集帳（ちょうしゅうちょう）とは、各地の国司が毎年任命される朝集使を通じて、朝廷に提出された公文や帳簿の総称です。この呼称は特定の一冊の文書を指すものではなく、複数の公文書が集約されたものを示しています。朝集帳は、特に平安時代において国の行政や政治の重要な情報源となっていました。

朝集使の役割

朝集使は、毎年11月1日（畿内は10月1日）までに、各都道府県の管理を行うため、太政官や他の官司に対して様々な公文を提出しました。その中には、国司や郡司の勤務状況を評価するための考課に関する公文や、文書の送受信に係る記録が含まれています。これらは、国の運営や地域の状況を把握するために非常に重要なものでした。具体的には、考文や計会帳といった書類が特に代表的です。

朝集帳の内容

朝集帳に含まれる公文書や帳簿には、多岐にわたる情報が盛り込まれています。『養老令』の規定の下では、僧尼の死亡状況を記した僧尼死亡帳や、兵士の経歴を記した兵士歴名簿、国郡器仗帳、さらには防人の営種苗子帳、官私船帳、馳駅帳、駒犢帳、官私馬牛帳、囚人の死亡に関する記録を含む囚人獄死帳や盗囚帳が存在しています。

一方、『延喜式』に基づく文書には、擬任された郡司の名簿、雑色人（一般人）の死亡記録、正倉帳、官舎帳、溝池帳、桑漆帳、種麦帳、陸田帳、鶏帳、鋪設帳などがあります。これらの文書は、地方の政治や経済状況を詳細に把握するための基礎資料として機能していました。

朝集帳の重要性

朝集帳は、平安時代の政治、経済、社会状況を理解する上で欠かせない資料です。地域ごとの行政運営の実態や、その年の経済動向、さらには民間人や僧侶の生活状況を明らかにする貴重な情報源となりました。特に、国司や郡司の勤務評価を通じ、地方政治の透明性を図る役割も果たしていました。

当時の日本では、情報の収集や管理が非常に重要であり、朝集帳はその手段として重要な役割を担っていました。公文書や帳簿は、単なる記録に留まらず、国家の運営や政策形成においても影響を与える重要な資料として位置づけられています。

朝集帳についての詳細は、古藤真平が著した『平安時代史事典』に記載されています。彼の研究は、当時の公文書に関する理解を深める手助けとなるでしょう。

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