朝鮮劇場

朝鮮劇場の歴史と影響

朝鮮劇場（ちょうせんげきじょう）は、日本統治時代に存在した映画館で、1922年11月6日に現在の韓国ソウル特別市鐘路区仁寺洞130番地で開館しました。この劇場は、韓国演劇の発展に重要な役割を果たしました。特に、ハリウッド映画の紹介や多様な演劇上演により、時代の文化的交流の場となっていました。

開館と初期の活動

劇場の開館当初、朝鮮劇場はさまざまなエンターテインメントを提供していました。李東伯の独唱や「萬波會」による現代劇の上演、さらにはヨーロッパやアメリカの映画が上映されていました。特に1923年には、洪思容が参加した「土月會」がここを拠点にし、演劇活動を展開しました。しかし、資金不足のために1925年に解散してしまいました。その後も「民衆劇團」や「劇藝術研究會」などが公演を行い、多くの観客を集めました。

経営者と映画製作

劇場の経営者には、早川増太郎、金肇盛、清水万次郎、西村福松などが名を連ねています。特に早川増太郎は映画製作にも手を出し、1923年には『春香傳』を製作、同劇場で初上映しました。これにより、韓国の古文芸が再評価されるきっかけともなりました。1934年には岸本寬が劇場で作品を上演し、同館は多様な芸術表現の場となっていました。

映画の上映と文化の発展

朝鮮劇場では、洋画が中心に上映され、日本人と朝鮮人の両方が観客として訪れました。日本語雑誌『朝鮮公論』では、この劇場での映画上映が高く評価され、「得難い名画」を惜しまず上映する姿勢が称賛されました。また、1934年にはチャールズ・チャップリンの『街の灯』が公開され、当時の人気歌手の特別出演もありました。

閉館とその後

しかし、1936年6月11日、劇場は放火により全焼しました。この火災では約300名の観客が無事であったものの、劇場の復興は叶わず、最終的には閉館することになりました。閉館の数年後、同地には鐘路区の区庁舎が建設され、現在はその跡地は駐車場として利用されていますが、2003年には「仁寺文化広場」に劇場の存在を示す石碑が建立されました。

朝鮮劇場はその短い歴史の中で、韓国の演劇や映画の発展に寄与し、文化の交差点としての役割を果たしました。今日でもその跡地は、かつての賑わいを示す貴重な歴史的場所として記憶されています。

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