朝鮮半島南部の前方後円形墳

朝鮮半島南部の前方後円形墳

本記事では、朝鮮半島南部に位置する前方後円形墳について、その特色や築造の背景、さらには日本列島にある同様の古墳との関係性を解説します。これらの墳は韓国では「前方後円墳」と呼ばれ、日本では「前方後円形墳」として両者の特徴を把握しています。

概要

朝鮮半島西南部、特に全羅南道と全羅北道に位置する栄山江流域には、特徴的な前方後円形墳が数多く見られます。これらはおおよそ5世紀後半から6世紀前半に築造され、日本の古墳時代中期から後期に跨る時期と重なっており、当時の日本と朝鮮半島の政治的、経済的、文化的な関係性を示す重要な事例とされています。前方後円形墳は、主に丸い丘（円形の主丘）と前方に突き出た方形の部分からなる特徴的な形を持っていますが、それぞれの墳の大きさや外部・内部の施設においては多様性があります。

墳丘とその構造

前方後円形墳は、形状が共通する一方で、墳丘の規模や埋葬に関する施設には顕著な相違が見られます。発掘調査によると、一部の墳には周堀や葺石、埴輪、木製品が発見されており、これは日本列島の古墳と類似する部分です。また、埋葬施設には九州地方の横穴式石室の要素も見受けられ、地域間の影響の存在を示しています。加えて、副葬品として日本、百済、大加耶に由来する文物が見つかり、様々な地域との交流があったことがうかがえます。

分布と築造年代

栄山江流域には10数基の前方後円形墳が存在し、特に光州や高敞地域などで見つかっています。これらの墳は、在地の古墳群とは異なり、1基ごとに離れて位置しています。築造年代はおおよそ5世紀後半から6世紀前半とされ、日本列島の古墳との時期的な相違を示します。この時期、朝鮮半島では三国時代が進展する一方、日本では古墳時代が盛んでした。

外部施設と内部施設

いくつかの前方後円形墳では周堀や葺石、さらに埴輪に似た土製品が出土していますが、これらは日本における埴輪とも似通っている一方で、製作技術には違いがあります。内部に目を向けると、多くは後円部に埋葬施設を持ち、特に九州地方に由来する横穴式石室を使用していることがわかります。しかし一部は百済系の石室とされ、複雑な影響関係を示唆しています。

歴史的背景と考古学的意義

5世紀後半から6世紀前半は、百済が勢力を回復しようとした時期と重なります。朝鮮半島南部と日本列島との間には交流が盛んに行われており、この時期においては日本からの影響を受けつつも、独自の在地文化が形成されていたと考えられています。栄山江流域は、紀元前から続くユニークな在地系勢力の影響を色濃く受けていた地域であり、その特徴的な古墳の成立背景には、百済の影響や日本列島とつながりを持つ交流の重要性が考えられます。

研究と議論の現状

研究は戦前から行われており、多くの学者がその存在意義を探求しています。現在も被葬者や文化背景に関する議論が続いており、在地首長説、倭系百済官人説、倭人説など様々な視点から分析が行われています。古代の交流の軌跡を解き明かすための研究は今後も進展していくことでしょう。

これらの古墳は、朝鮮半島と日本列島の歴史的な関係を理解するための重要な鍵を握っているのです。

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