朝鮮藝術賞

朝鮮藝術賞

朝鮮藝術賞（ちょうせんげいじゅつしょう）は、日本の統治下にあった朝鮮で芸術を振興する目的で設立された賞です。この賞は、様々な芸術活動を表彰することで、芸術の発展を促すことを目指していました。1945年に行われた第6回の受賞を最後に、この賞は終了しました。

背景と成立の経緯

この賞は、作家であり、芸術文化の振興に尽力していた菊池寛の意向を受けて設立されました。彼は、朝鮮における芸術振興のために資金を提供し続けており、その成果を具体化する形となりました。1939年10月、モダン日本社が東京と京城（現ソウル）に朝鮮藝術賞委員会を設置し、受賞作品を選定することとなりました。この賞では、文学作品については別途委員会が設けられ、芥川賞委員会が選考を担当しました。

選考対象と授賞のプロセス

朝鮮藝術賞の選考対象は、前年の1月から12月に発表された作品であり、分野は多岐にわたります。具体的には、文学、演劇、映画、舞踊、音楽、会話、美術など、各分野で1部門につき1人または1団体が選考されました。授賞は毎年1回行われ、その結果は毎年3月に出版される「モダン日本朝鮮版」の4月号で発表されました。また、受賞者には賞金500円が贈られました。

受賞者一覧

第一回（1939年）

• - 文学: 李光洙『無明』
• - 選考委員: 代表は菊池寛で、文人や映画、演劇、美術、音楽など各分野の専門家が参加しました。

第二回（1940年）

この回以降の選考は朝鮮文人協会が行うことになりました。

• - 受賞者:

- 文学: 李泰俊
- 会話: 高義東
- 舞踊: 韓成俊

第三回（1941年）

詳細は不詳。

第四回（1942年）

• - 受賞者:

- 文学: 李無影『青瓦の家』
- 美術: 盧寿鉉
- 演劇: 移動劇団第一隊
- 音楽: 咸和鎮

第五回（1943年）

• - 受賞者:

- 文学: 松村紘一『手に手を』
- 美術: 李像範

第六回（1944年）

• - 受賞者:

- 文学: 朴鍾和
- 音楽: 厚生栄団

総括

朝鮮藝術賞は、日本の統治時代において、朝鮮の芸術文化を振興する重要な役割を果たしました。受賞者たちは、その後の朝鮮文化においても影響を及ぼし、現在に至るまで評価されています。賞の終了は日本の敗戦と関係があり、当時の状況を背景に、芸術文化の記録とその重要性は、今も語り継がれています。

この賞の歴史は、朝鮮国内外の芸術家たちにとって、今なお示唆に富んだ教訓となることでしょう。

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