期数列外

韓国海兵隊における集団いじめ「期数列外」

韓国海兵隊では、入隊時期を示す期数によって兵士間の序列が形成されています。しかし、このシステムを悪用した「期数列外」と呼ばれる集団いじめが問題となっています。これは、特定の兵士を意図的に序列から外すことで、仲間から無視やいじめを受けるというものです。対象となるのは、部隊生活に適応できない兵士や、周囲の兵士の基準から外れたと判断された兵士です。上級兵から下級兵までが関与し、組織ぐるみでいじめが行われるケースもあります。

期数列外の起源と広がり

期数列外の発生時期は明確ではありません。一部の証言では、2000年代初頭から発生し始め、2010年代には海兵隊第1師団を中心に広がったとされます。元海兵隊員らの証言によると、1990年代後半には存在していなかったこの慣習は、2000年代に入り、特に第1000期以降の隊員を中心に広まっていったと考えられています。当初は、防衛兵（戦時以外には徴兵されず、予備役として郷土の防衛に当たる者）と現役兵の間の軋轢が原因の一端を担っていたとする見解もありましたが、防衛兵制度の変更によってその軋轢は解消されつつあります。しかし、期数列外は、組織内の序列システムと、不適応兵士への排斥という問題が複合的に絡み合った結果生まれた、より複雑な問題だと考えられます。近年では、韓国空軍でも同様の事例が報告されています。

期数列外の形態と加害者・被害者

期数列外の具体的な形態は、無視や暴言、暴行など多岐に渡ります。韓国軍人権センターの調査によると、兵長クラスの会議でターゲットが決定され、上等兵が下達するという組織的な側面が見られます。対象となるのは、部隊生活に適応できない兵士だけでなく、「顧問官」と呼ばれる悪習撤廃を試みる兵士や、医務室に通う兵士、期数列外を被った兵士に同情を示す兵士なども含まれます。加害者は上級兵から下級兵まで幅広く、組織全体で問題が黙認されていることが分かります。

関連事件

期数列外に関連する事件も多数発生しています。2011年6月、国家人権委員会は浦項の海兵隊第1師団で、上級者に暴行事件を報告した兵士が期数列外に遭い、人格的侮辱を受けた事例を公表しました。また、同年6月にはソウル高等法院が、上級者のいじめにより精神疾患を患った元兵士の国家有功者登録拒否処分を取り消す判決を下し、海兵隊内の閉鎖的な組織文化を批判しました。

最も深刻な事件として、2011年7月4日に発生した江華島海兵隊銃乱射事件が挙げられます。この事件では、期数列外を怨んだキム某上等兵が同僚兵4人を射殺し、1人を負傷させた後、自殺未遂に及んでいます。この事件は、期数列外という悪習がいかに深刻な結果を招くかを改めて示すものとなりました。

結論

期数列外は、韓国海兵隊における深刻な人権問題です。期数による序列システム、不適応兵士への排斥、組織的な隠蔽体質といった複数の要因が複雑に絡み合って発生しており、その解決には、組織文化の抜本的な改革が必要不可欠です。この問題の解決なくして、韓国軍の健全な発展はあり得ないと考えられます。今後の調査と対策が求められています。

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