朧 (雷型駆逐艦)

朧（おぼろ）駆逐艦の概要

朧（おぼろ）は、日本海軍で活躍した駆逐艦の一隻です。「朧」という名称は、曖昧模糊とした月を指す意味があり、艦名に込められた詩的な響きが印象的です。この艦の初代にあたる朧は1899年に建造が始まり、その艦歴は多くの戦役や試練に満ちていました。

建造と艦歴

朧の建造は、明治31年度に設計された水雷艇の一環として、明治32年度に進められました。1898年6月24日、イギリスのヤーロー社との契約を交わし、その後様々な公試を経て、1900年11月1日に竣工を迎えます。195名の定員を持つ艦は、当初は水雷艇として艦籍が更新され、以降は軍艦に変更されました。

1900年にはイギリスを出航し、神戸港に到着した後、様々な任務に従事します。特に1904年に勃発した日露戦争では、第1艦隊第2駆逐隊に所属し、旅順港の奇襲攻撃に参加。日本海海戦では、ロシア戦艦の唯一の生存者を救助するという名誉を担いました。

その後の1905年、朧は駆逐艦として独立した艦種に編入され、第四駆逐隊を形成します。1910年代にも様々な訓練や出動を行い、成長した艦隊員たちが能力を磨いていました。

現役時代の事故と制約

一方で、艦はしばしば事故にも見舞われます。例えば1907年や1909年には仲間の艦との衝突が報告されています。特に1913年には、演習中に青森汽船との衝突事故を起こし、「朧」は艦首を小破し、演習が中止される事態に至りました。このような事故は、艦の運用に大きく影響しました。また、1917年には第四駆逐隊から除かれ、第八駆逐隊に編入されるなど、艦の所属が変更されることもありました。

除籍後の経緯

1919年、朧の運命は大きく動きました。1921年には除籍され、特務艇に転向しました。その後、二等掃海艇としての役割を担い、標的船として改造されていきます。しかし、老朽化が進み、1924年には使用に耐えないと判断され、廃船の運命を辿ることになります。1925年には正式に廃船として認可され、朧の長い歴史の幕を閉じます。

結論

朧はその艦歴の中で数々の任務を遂行し、日本海軍の重要な駆逐艦として活躍しました。日露戦争の英雄的な場面やその後のトラブルを乗り越えた軍艦として、その名は後世に語り継がれることでしょう。艦の改造や除籍後の過程でも、それまでの栄光は決して忘れられることはありません。

もう一度検索