木崎村小作争議

木崎村小作争議の概要

木崎村小作争議は新潟県北蒲原郡木崎村を舞台に発生しました。この争議は、日本の三大小作争議の一つとされ、多くの農民運動に影響を与えました。その背景には、米の品質向上を目指す政策が、小作農にとって過剰な負担となったことがあります。

三升米事件

新潟県では、1907年から米の品質向上のための検査制度が導入され、1916年からは生産米検査規則が施行されました。これにより、米の販売価格は向上しましたが、検査を受けるための負担は小作農にのしかかりました。特に1922年には、生産米検査規則が強化され、小作農の不満が高まりました。

須貝快天が率いる農村革新会は、米の納付に際して負担を軽減するよう地主に要求しましたが、地主側の拒否により、小作農は地主宅に押しかける事態に発展しました。これが「三升米事件」として知られ、木崎村を含む県内の小作争議の増加を引き起こすきっかけとなりました。

小作組合の結成

争議の始まりは、須貝快天の指導で1922年に方部落で小作組合が結成され、地主に対して小作料の減免を求めたことです。初めて農民の一致した要求が地主に示されましたが、地主たちは拒否しました。しかし、小作組合は新たな組合長を立て、要求を貫く活動を強化しました。

形勢が逆転する中で、地主たちも小作側の要求に徐々に応じるようになりました。

連合会の形成と対立の深化

しかし、真島桂次郎という地主は反対を続け、小作料の訴訟を起こしました。これに対抗して、小作組合は日本農民組合に加入し、連携を強化しました。1923年には木崎村農民組合連合会が結成され、正副区長を小作側が占めるまでに勢力を拡大しましたが、真島は依然として強硬姿勢を崩しませんでした。

1924年には小作料未納を理由に裁判所が小作農の耕地立入禁止を命じ、争議は全国的な注目を集める事態となりました。

鳥屋浦事件とその後の展開

和解を拒んだ真島らは再度訴訟を起こし、地主側は cooperativeに属さない農民を組織化しようと試みました。1926年には地主側が勝訴しましたが、小作側は東京法院に控訴し、地主側は小作農の土地に仮処分を申請。これにより、5月に鳥屋部落で派手な衝突が起こり、組合員たちは多くが検束されました。

この「鳥屋浦事件」では小作と地主の対立がピークに達しました。

同盟休校と教育活動

争議の結果、無産農民学校が設立され、組合員の子どもたちは同盟休校に入りました。この間、婦人部が結成され、様々な商品を販売することで小作側の存在感をアピール。無産農民学校は徐々に活発になり、授業を通じて農民の意識を高めました。

しかし、その後政府は強硬策を継続し、9月に和解が成立、無産農民学校は解散に追い込まれました。

争議の終結とその意義

1926年には久平橋事件が発生し、小作側は大きな打撃を受けることになります。法廷闘争は、1930年に和解が成立するまで続きました。

争議は小作側の敗北で終わりましたが、結果として小作料が実質的に低下し、農民の権利意識が高まりました。この争議の影響はその後の農地改革にもつながり、特にテロ的な行動に至らなかったことで、農民運動の多様性が確認されました。

木崎村小作争議は、新潟県や全国の農民運動に大きな影響を残し、現代にも続く農民の権利意識の根底を形成しました。

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