木庭神社

木庭神社：小赤壁を見下ろす歴史と自然の聖地

兵庫県姫路市木場の海岸線近く、瀬戸内海の美しい景色を望む高台に鎮座するのが木庭神社です。創建は1615年（元和元年）に遡り、地元の豪商であった三木九右衛門宋栄によって建立されたと伝えられています。

神社の鎮座地は現在木場ですが、かつては木庭と呼ばれており、その地名が神社名に受け継がれています。特に、神社のある一帯は、その景観から三国志の赤壁になぞらえ「木庭山」と呼ばれ、小赤壁と呼ばれる景勝地もすぐ近くに広がっています。木庭神社は、小赤壁の上部、木場山山頂付近に位置し、瀬戸内海を望む絶好のロケーションにあります。

創建後、風雨による損傷を受け、1741年（寛保元年）には地元の医者であった三木寸斗によって再建されました。その後も幾度かの改築を経て、現在の社殿に至っています。

木庭神社の大きな特徴の一つが、祭神の数です。天照大御神、豊受大神、住吉大神（表筒男命、中筒男命、底筒男命の3神を含む）、仲哀天皇、神功皇后、応神天皇、大己貴命、少彦名命と、実に10柱の神々が祀られています。これほど多くの神々を祀る神社は非常に珍しく、その歴史と信仰の深さを物語っています。社殿は南西向きに配置され、神殿の前には断ち切られたような巨大な岩が幾つか鎮座しています。また、境内からは、西下方には波切不動明王、東方眼下には八家地蔵を望むことができ、東西には播磨臨海工業地帯が広がる眺望も楽しめます。

神社への参道は、桜並木としても知られており、春には美しい桜並木が参拝客を迎えます。7月15日には夏祭りが行われ、特徴的な風習として、紙で作った鳥居（紙鳥居）が建てられます。この紙鳥居には、夏ばて防止や無病息災といったご利益があると信じられており、参拝者は鳥居の紙を破って持ち帰り、お守りとして大切にしています。近年では、紙の代わりにビニールが使われるようになっています。

木庭神社は、歴史、自然、信仰が一体となった、魅力的な場所です。小赤壁公園や八家地蔵といった周辺の観光スポットと合わせて訪れることで、より一層豊かな体験ができます。交通アクセスは、公共交通機関では山陽電鉄八家駅・的形駅から約2km、神姫バスを利用することも可能です。自動車の場合は、国道250号八家駅前を南下し、約2kmの場所に位置しています。

参考文献：姫路市教育委員会（平成5年2月版）および八木地区連合自治会（平成13年6月版） 現地説明看板。

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